出版社内容情報
幸福という名の支配に、どう抗えばいい?
階級別の教育と、同じ規格の人間を大量に「製造」する生命操作。感情の安定をもたらすドラッグの配給。家族を解体した先にもてはやされる自由性愛。「超管理社会」ともいえる文明世界で、人々は何一つ不満を抱かず「幸福」に暮らしている。しかしそこに、人間本来の自由や尊厳ははたして残されているだろうか?
翻って現代社会を見つめてみると、ゲノム編集による優秀な胎児の「デザイン」、スマホへの快楽依存など、驚くほど『すばらしい新世界』へと近づいていることが分かる。非合理さや摩擦を減らすことと引き換えに、私たちはいまどこまで自由を失いかけているのか、最適化至上主義の価値観を抜け出すために何が必要かを考える。
【目次】
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
イリエ
14
現代に生きる私たちにとって、リアルすぎて怖い。番組を見てから読む解説付きのテキストだからこそ、作品の深いところまで案内してもらえた。「死」への恐怖さえ、文化によって形づくられたものかもしれない。そんなところまで考えが及ぶ。 堤さんの指摘や考え方はわかる。それでも、結局こうなってしまうのでは? という思いが消えない。わかったつもりになっても、すっきりとは抜け出せない。その感覚が、いつまでも残っている。2026/10/10
石橋陽子
14
堤さんの書き方が素晴らし過ぎて、久しぶりにラインを引きまくりの読書となりました。こちらは指南本なのに。AIやテクノロジーの進歩が追求するものは便利さや速さ。その結果、何が失われていくのか。約一世紀もの時を経てもまだなおこの作品が色褪せないのは、人間にとっては幸福とは何か?という普遍的な問いを、決してわかりやすい二元論ではない形で繰り返し投げかけてくるから。今心から考えたいテーマである。次に本著に進もうと思う。2026/09/24
GELC
12
堤さんの、新自由主義の支配者の所業をすっぱ抜き煽り立てるスタイルに疲れることがある。しかし本書では、彼女自身が原著を精読し、深い理解に基づく解説が繰り広げられている。1984年を読んだときに、深い絶望感を感じたが、本書の新世界は、さらにもう一段階進んだ状態。そして、これはまさに現代の我々が直面している事態だ。つまり支配者層から、(スマホを通じて)気づかない方法で思考力等の人間らしさを剥奪されていることがはっきりと理解できた。大切なのは、自分で考え選択する意思をはっきり意識すること。原著を近いうちに読もう。2026/09/04
北風
10
明日のための予習。もう9月も終わりか。新世界は素晴らしいというタイトル、この内容の反転のふり幅がすごい。素晴らしい世界が極端なので、その反動が大きすぎて、逆に否定したくなる。選択をすることがなくなるのが素晴らしい世界。子供は成長して、自分の選択をする。でも最近は確かにAIに決めてもらうために相談するみたいだから。相談するのではなく、AIに決めてもらってるって気づかず大人になってしまうんでしょうか。わあ、怖い。2026/09/27
桃の種
5
ぼやけていた自分像を探し出すきっかけになりそうな2026/10/19




