出版社内容情報
誰もが共有できる価値を見つけ出す哲学、それが現象学だ!
本書が著されたのは20世紀前半のヨーロッパ。あらゆる学問が発展を遂げ、人類は世界をより深く、より正しく理解できるようになった。にもかかわらず、哲学者フッサールはそこに「諸学の危機」を見て取る。客観的な真理や発見を追い求めるあまり、原点である「どう生きればよいのか」「何がよいことなのか」が置き去りにされてしまったからだ。私たち人間という存在に深く関わるこれらの問いに、学問が再び向き合うことができるよう、フッサールは「現象学」を提唱した。
生きる意味や価値を共に探り、分かち合うことで、よりよい社会のあり方も見えてくる。現象学のエッセンス、そして今すぐ実践できる、現象学を用いた哲学対話の手法を学ぶ。
【目次】
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
tom
25
フッサール、50年も昔に読もうとした。現象学という名前が格好良く思えて見栄を張ってたけど、何も理解できてなかった。でも、今回テレビで見て、テキストを読んで、何やら理解できたような感じがある。人の話を聞くことは、自分の主観で聞くもので、聞いたことを相手と擦り合わせたり、自分の過去の経験と照合するなどなどで落ち着きどころを探すことと思っていたけれど、どうも、これは現象学の手法だったような。よくは分からぬが、もしそうだったのなら、無知の時代の見栄が役に立っていたのかもと驚いてしまったのでした。良書です。2025/08/19
かふ
21
本質観取(変換すると本質看守になる。世界はこの方向性なんだと思う)はプラトンの「イデア論」なのでは。ベンヤミンによるとそういう本質(アウラ)は失われてしまったのではないのか?キリスト教社会とイスラム教社会の対話が必要だというのは理想論のように思う。ただどこまでも懐疑論になるとシオランの絶望しかないのだろう。どこか信じるものがあるとすれば超越論なのだろうか?感情論(叙情性)と実証主義(論理性)の対立は文学的な問いでもあるので、もう少し見ていきたい。2025/08/03
nbhd
15
まず、タイトルが超絶エモいよね。ヨーロッパ諸学の危機」!、そして「超越論的現象学」!!なんだもん。学生時代に哲学にかぶれた頃は、正直よくわからなかったけど、社会人を20年くらいやってきて、コンサル的資本主義にまみれる日々のなかで読んでみて、フッサールさんの気持ち、すーげぇーわかった(感応した)。フッサールは数学者出身で、ヒルベルトプログラムとかその時代の人。で、危機書の「ヨーロッパ諸学の危機」の部分は、フッサールによる科学史(数学・物理)なのだと知り、俄然、興味が増した。結局、主観なんだよね。わかるぅ。2025/08/03
かず
11
題名を見て即座に理解できる人はかなりの知的レベルだろう。超越論?何を超越するの?現象学?現状の象についての学問?読んでみて納得…したようなしないような…ただ、自分の理解が正しければ、私は超越論的現象学風に思考するタイプだ。恐らく、仏教を学んだからだろう。この世は、個々人の認識により違って見える。しかし、主観に限定されない姿というものがある。それを知るには、皆が共通に想起するイメージを抽出する。例えば、人はどう生きるべきかと問われれば、「全ての物事を尊重する」という風に。現象学的社会学の副読本として活用。2025/09/03
GELC
11
『純粋理性批判』の解説で感銘を受けた西先生の解説ということもあり、ここ最近のテーマ本の中では最も期待している。「正しさはひとそれぞれ」「みんな違ってみんないい」の思考停止に陥らず、対話を通じた共通認識を図るための考え方をしっかり学びたい。2025/07/02
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- 和書
- 二十面相暁に死す