出版社内容情報
「詩を生きる」って、こういうこと
『二十億光年の孤独』での鮮烈なデビュー以来、昨年末に92歳で亡くなるまで、繊細な心理やことばあそびの面白さ、生きることの根源などをうたった多彩な詩を紡いだ詩人・谷川俊太郎。その詩は、作家や詩人、アーティストはもちろん、子どもから大人まで、現代に生きる多くの人に読み継がれ、親しまれている。なぜそのことばは人々の心を捉えて離さないのか。みずからも詩作や詩論を手掛け、谷川と交流のあった若松英輔氏を案内役に、谷川本人が選んで編んだ詩を、人生の軌跡とそのときの詩作への向き合い方に光を当てて読みとく。そして、詩を味わうとはどういうことか、私たちにとって「ことば」とは何なのか、その奥深い世界にふれる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
どりーむとら 本を読むことでよりよく生きたい
10
俊太郎の父が哲学者であったことを知りました。盛りだくさんの内容であったので、段落の最初の文だけを最初に読み全体を把握してから読み進めていった。生活の中で感じることを分かりやすいい言葉で詩という方法で表現してくれている。「ひらがなの詩」という中にある、おに、十二月、にじ、がいこつなどの作品には共感させられた。詩によって哲学的な内容を語れるのはすごいなと感じた。本の裏側に「地上の星」を作曲した中島みゆきとの写真がある。彼女も歌の中で哲学を語っている。いいなと感じた。2025/06/07
yuma6287
8
より確かに。谷川俊太郎の詩を時系列に紹介しつつ解説するムック本。詩そのものの読み方から、作品一つ一つの背景、著者なりの読み方と載せており、鑑賞の土壌が非常に整っている。惜しむらくは「」が多用されており、解説の方が難しい文章になっている事だろう。とは云え名著シリーズだけあり、谷川俊太郎の詩を読むなら手に取るべき難易度に調整されている。個人的には小説でも論考でもない詩の読み方をある程度確立でき、解説抜きでも谷川俊太郎の詩が楽しめるようになったのが嬉しかったです。2025/06/16
GELC
8
谷川さんに詩は、特別とも思えない日常を平易なことばで現わしながら、驚きを与えてくれるところに惹かれる。それは、孤高の芸術家というよりは、どこまでも生活を生きようという態度や、平凡な毎日を真剣に生きることも哲学的な営みであるという本書に登場する言葉からもたらされていると感じた。また、巻末に紹介されていた岩崎さんの詩集も、いのちを見つめ直すきっかけになりそうで、手に取ってみたい。2025/05/02
youmaysay
3
やっぱり谷川俊太郎の詩はいいなと再確認。 2つくらい家にあるけど、他の詩集も読みたくなった。2025/06/22
Ise Tsuyoshi
3
Eテレの番組も良かったが、このテキストも素晴らしい。谷川俊太郎の詩を味わう手助けをしてくれる入門書。個人的には「木」と「言葉は」に深く考えさせられた。「詩は、読んでいる瞬間だけではなく、その後の長い時間にわたって私たちに働きかけてきます。時間が経つごとにその味わいが深化するとすらいえる。大切な人からの手紙と同じです」(p.25)「真剣に一つの詩を書く。それだけで私たちは谷川俊太郎とも詩の友になることができます。詩人だけが詩を書くのではありません。詩を書いた人が詩人なのです」(p.137)2025/06/01