出版社内容情報
分断の時代にこそヘーゲルの思考法が必要だ!(2023年5月のアンコール放送)
さまざまな分断が可視化された現代社会にこそ、ヘーゲルの思考法が必要だ!
ポスト・トゥルースの時代はなぜ訪れたのか? 意見を異にする他者と共に生きていくために必要なこととは?
矛盾や否定を重んじて弁証法によって自由を構想したヘーゲルの著作には、
不毛な対立を乗り越えて社会を形作っていくためのヒントが詰まっている。
マルクスが「私は自分があの偉大な思想家の弟子であることを率直に認め」(『資本論』)と書くように、
ヘーゲルは後世に多大な影響をおよぼした大哲学者だが、
破格のスケールで展開される思考には独特の難解さが付きまとう。
今回「100分de名著」で取り上げるにあたっては、さまざまな補助線を示しながら解説。
ベルリンにわたってヘーゲルを研究した斎藤氏が、近年アメリカで進んでいる再評価の成果も踏まえつつ、
日本の一般読者に向けて易しく解きほぐす。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さとまる
7
番組を見てさっぱりわからなかったので読んでみた。なんかわかったようなわからないような。啓蒙と宗教のあたりは番組よりも分かりやすく思えたかも。わたしは完全に啓蒙の側の人間なので、エビデンスを突きつけても分からない愚民は放っておけとなりがちだが、その態度こそ分断に拍車をかけているのだと反省。2025/05/05
MF
3
今こそ相互承認が必要。論破では何も生みだせない。2025/07/12
ぐんまくん。
3
相変わらずわかりやすいシリーズ。ヘーゲル、確かに難しそうであるが、ここでも書かれている通り、分断の時代にこそ必要な思想ではないかと感じた。もう少し、ヘーゲルのことを勉強してみたくなった。 2025/03/30
遊動する旧石器人
2
2025年3月1日発行。ヘーゲルの『精神現象学』を解説した100分de名著テキスト。自身は未だヘーゲルの書を読めていないが、ヘーゲルの考え方にとても興味を持った。それは、やはり現代社会が「啓蒙と信仰の戦い」の時代でもあるからだ。その時代性に辟易している自身としては、「告白」と「赦し」の思想が心に響く。「啓蒙と信仰の戦い」から「教団」化していく状況は、SNSを見ても明らか。カルト教団のトップに君臨しようという欲望が露骨に出ている。「告白」と「赦し」、つまり、人間同士の建設的な対話、相互承認が希求される時代。2025/06/14
Yuji Terazawa
2
【 2025年読書日記・その8 】 こんなの、入れるの反則な気もするが。NHKの番組でヘーゲルを取り上げるのを知り(再放送だったが)、見たのが第二回分だった。 ヘーゲルはカント以上に難しそうで敬して遠ざけていたが、何とも今の時代に必要なことを200年以上も前に書いていたことに驚く。 もっとも、このような現状は予見できる人にはできたのかも。世の中がついてこれなかっただけなのかもしれない。時代が早すぎたのか? もう少しヘーゲルの思想に触れたいが、番組を見ても本書を読んでも、原著はハードル高いな。。。2025/05/13