出版社内容情報
自由がもてはやされながら、誰にも頼れず孤立し、すべてが自己責任となる現代。同様の問題は、実は近代ヨーロッパですでに生じていた。人々が?がりを見失うなか、デュルケームは分業を通じて互いに支え、頼り合う社会を構想した。彼の思索を通じて、現代に”連帯”を実現する方法を探る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
兵士O
39
僕の前の職場は社会福祉制度に埋没した組織でした。そこでは僕らは社会の歯車として、制度内の均質な役割でしか自分の活動(労働)が活きてこなかった。でも今の職場はこの本で言うような分業している感覚があります。賃金こそ激減しましたが、そこの広報誌で僕の描いたカットが使われることになりました。芦田さんが触れているデュルケームの限界。個人の営みを無視した社会的連帯。でも、芦田さんは脳性麻痺の熊谷晋一郎さんの連帯(依存)を通じた個人に寄り添う活動のことも触れています。今の僕らに必要なのはそういった連帯感(やりがい)だ!2025/02/15
特盛
27
評価3.3/5。デュルケームはジンメル、ヴェーバーと並ぶ社会学の祖。1857年生まれで近代化、個人化が進む社会でどうやって社会が成り立ちうるか?その構想として、連帯の鍵を分業とそれによる相互依存に見た。彼の生きた時代も世界大戦など孤立や分断が深く今に通じる。フロムの「自由からの逃走」で議論された構図も似通る。残念ながら、今や連帯感無き分業が浸透している。グローバル化、流動化、細分化、道具的連関の中で繋がりは見えなくなっている。分業により、人は種として強くなったが個としてはとことん弱くなったなとつくづく思う2025/03/28
さきん
22
本屋で並んでるの見て、あのデゥルケームが出てると思わず手に取った。近代社会になったら、あらゆる階級や地域の風習しがらみから解放されて自由になる一方で、その紐帯を失うことで孤立し、自らの役割や立場を見失って無気力状態となり、自殺やテロの遠因にもなるということを示唆した内容。一方で、宗教、趣味グループ、ギルドや労働組合など、本書には触れられていないが同窓会や母友等のつながりを大事にすることが孤立を防ぐ対策になりうる。分業も単に作業分担してその作業しか知らないとやっている意味がわからなくなるので、2025/02/22
GELC
19
個人主義・分断が伸長する半面、ポピュリズム等の極端な主張が目立つ、今日の社会情勢に至った要因がよく理解できた。共同体の解散は裏を返せば共同体からの追放、急に何をして良いと言われても何が正しいのか分からない。この部分、制服の私服化の例えが非常に分かりやすかった。また、現代では分業が進み過ぎて、相手の顔が見えず連帯感が得られないことも実感がある。しかし、中間団体に期待する考えは、どうもうまく行く気がせず、解決策についてはもやもや感が否めない。放送時に引き続き考えていきたい。2025/02/03
ドラマチックガス
13
100分de名著で社会学文献を取り上げるのは2冊目? 『ディスタンクシオン』のときに初めての社会学文献と言っていたので。社会分業論は持っているけれど、分厚さに気圧されて未読。もっと機械的に社会をみる本と思っていた。著者によると、それは1960年代以前の古いデュルケム感らしい。古かった。2025/03/25
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- 和書
- あたしンち 〈第13巻〉