出版社内容情報
精神科医・安克昌が阪神・淡路大震災の「内側」で経験したことを綴った『心の傷を癒すということ』。「かけがえのない日常を根こそぎにされた」「愛する人と二度と会えなくなった」、そんな人の心の傷はどのように癒されるのか。傍にいる人には何ができるのか。心のケアの「実際」を学ぶ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
GELC
10
この本をきっかけに、精神的ケアの概念を社会が認識するようになり、制度が整えられるようになったとのこと。なるほど、「心の傷を癒すことができるか?」は、社会の品格のバロメーターとなるだろう。決して、医療だけの問題では無い。2025/01/02
歩月るな
8
もうすぐ発生から30年になる。例えば事実こういう事があると、知らなければ幸せと言う気持ちも分かるし、知らされない世代もいるかもしれない。理性が拒み、無縁であってほしいのも当然だろう。でも知りたい気持ちは止めるべきでないと思うし、知っているだけでも変わることはあるだろう、そういう「知識」としてあるものだと思う。2025/01/07
バーニング
3
番組は未見だが、本書の第3回の内容が印象に残った。共有すること、表現すること、もがくこと。生き延びようとするプロセスの先に「心的外傷後成長」があるかもしれないと考えると、支える側にとっても希望になると思う。ただレジリエンスと一緒で、それが目指されるべき結果として解釈されてはいけない。あくまでもがきのプロセスが重要なのだ、という指摘(p.67)をわすれないところも宮地尚子らしいと感じた。2025/03/12
huchang
3
『心の傷を癒すということ』という本は、確かに良い本なんだけど、なんで今さら文庫化だけででなく単行本化されているのか疑問に思ってた。これを見て謎が解けた。残念ながら見逃したので、この本で放映時の雰囲気だけでも味わおうと思った。本当に阪神淡路では色々あった。色々あったのよ。ドラマの写真もほんの少し掲載されていて、安克昌さんを演じる柄本佑さんを見た奥様が「寄せすぎやろ…」と泣いたという話を思い出したが、いくら検索しても出て来ないんだよな。2025/02/11
rockwave1873
2
阪神淡路大震災から丸30年という時に合わせ、選ばれた安克昌の「心の傷を癒やすということ」という作品。 作者は、自らも被災をしながら病院で診察を続け、さらに避難所を回って心のケアに奔走。全国から参集した精神科医のコーディネートも行ったと人物。大きな災害は人の心に「トラウマやPTSD」等の心の傷を残す。心の傷を癒すには「安全であるという感覚を取り戻す」事が重要であり、「心的外傷体験を自分なりにどう捉えるか、どう乗り越えるかは、その人がこれからどう生きていくのか、つまりは人生そのものの問題である」と言う。 2025/01/10