出版社内容情報
数ある勅撰集のなかでも、特別な位置を占める『古今和歌集』。日本人ならではの美意識や心情が詠み込まれた歌は、いまなお私たちの胸を打つ。1000以上に及ぶ入集歌のなかから名首60余を厳選し、作者の想いを読み解きながら、歌の調べを味わいつくす。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
圓(まどか)🐦@多忙のためほぼ休止中
17
卒論が『伊勢物語』だった私にとって『古今和歌集』はその副読本でした。このテキストは「四季」「恋愛」「人生の景色」「女性歌人」ごとに百人一首にも収録されている歌を中心に比較的有名どころが取り上げられていてます。入門にもおさらいにもおすすめ。個人的には紹介された六歌仙の歌も素晴らしいけれど撰者の四人の歌も心に残るものが多い。このテキストでは「四季」の章が好き。2023/11/27
どりーむとら 本を読むことでよりよく生きたい
15
秋の夜長に再読しています。その中で多いに納得したことがあります。源氏物語を書いた紫式部が、在原業平の義理の兄、在原行平の「わくらばに問う人あらば須磨の浦に藻塩垂れつつわぶとこたえよ」歌があつたこそ誕生したという所です。なるほど、物語てそういう源があって出来上がるのかと感じました。2023/11/18
どりーむとら 本を読むことでよりよく生きたい
14
千年以上の前の歌が、なぜ心に響くのはなぜか?人々が社会生活を送る中で経験した喜怒哀楽がその歌の中にあるからだという事が理解できた。ただそのためには、本書に示されているようにその歌が詠まれた背景が分からないと自分には理解できない、この本は600円の価値がある本だった。自分が心に残る句はおそらく自分の置かれている環境によって変わっていくだろう。今は、小野小町の「わびぬればみをうき草の根を絶えてさそう水あらばいなむとぞ思う」です、なぜそうかはご想像にお任せします。2023/11/12
石橋陽子
12
古き良き時代の歌、古今和歌集。日本人であれば、この風流さを存分に味わうべきだ。思いを歌に乗せて我が身から放たれる美しさは、今のデジタル社会では感じられない。たった31字で思いを綴る。そこには壮大なテーマが描かれることもあり、イマジネーション力に感銘を受ける。君が代の元になった歌や、折句や縁語を散りばめた歌を詠んだ在原業平はやはり素晴らしい。1100年ほど前の日本の良さを今一度見直しファスト時代から少し離れる時間を取りたいものである。2023/11/14
GELC
8
聞いたことがある詩が半分ぐらい。1000年前の気持ち、出来事をを伝えられるコトバの偉大さを感じたが、同時に、詠まれた情景が鮮明にイメージ出来るものが多くて、自分が日本人であることを再認識。叙景詩はイメージしやすくて楽しく味わえたが、叙情詩、特に恋の詩は、今と倫理感・価値観が違うからか、なかなか素直に理解しにくいものも多かったように思う。2023/11/05