出版社内容情報
数々の迫害に耐えつつ、「法華経の行者」としての生涯を貫いた日蓮。他宗や幕府を盛んに批判したため、激烈なイメージが付きまとうが、信徒たちに送った手紙には、深い思いやりや処世訓など、人間味あふれる実像がにじみ出ている。残された手紙を手がかりに、日蓮の生涯と信念を読み解く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
北風
10
日蓮聖人は、鎌倉時代のお人なのね。時代もそうだが、自然災害も多かったみたいで、より人々には救いが必要だった。しかし、過去のおいてどの国も女性蔑視が強いのはなんなのか。それに対して、信心だけではなく理論的に正そうとしていた日蓮の人間性はすごい。筆まめなのは、この時代では特筆すべきことなのでしょうね。今ではたった一言で誰かとやり取りできる。でも、それは肉筆とは全然違うよな。ずっと遠くにいる人に届けるために、たくさんの言葉を連ねる。たった一言送れば、簡単に一言返ってくるなんて。言葉が軽くなるわけだ。2023/03/08
Iwata Kentaro
7
本屋で衝動買い。亀田にいたときは小湊を何度も通ったので日蓮は馴染み深い。本書のメッセージは「実は怖くない日蓮」なのだろうが、十分怖かった(笑)。が、パーソナルではとても優しいという怖い人ではよくあるパターン。鎌倉時代はトラブルと陰謀ばかりですね。2023/06/11
らる
5
法華経は「人を差別しない」/自信を失っている人を勇気づけ、本当の自分の価値に気づかせてくれる/この世を離れたとこかに理想の世界があるのではない。今、自分がいる場所で、自身のふるまいを通してこそ、法華経の世界は実現される/仏教の一番の目的は「自己との対決」を通して「真の自己に目覚めること」「失われた自己の回復」「人格の完成」/われわれはいま、ここに、こうして生きている。なのに、なぜわざわざ死後の別世界に浄土を求める必要があるのか2023/04/09
白いカラス
4
日蓮といへば伊豆に流され、時の鎌倉幕府に抗議を繰り返し受難な人生を送った宗教家というイメージでした。しかし、厳しい現実を生き抜く力、女性に対する寄り添う心や死生観など学ぶことが多く、日蓮の生き方を通して今の自分を顧みることが少しでもできたかなと思いました。2023/03/30
ara
3
アジア主義者に日蓮主義者が多く、日蓮について深堀するために読んでみた。 日蓮が様々な境遇の人達に送った手紙の内容が紹介されている。 鎌倉時代ということもあり、女性蔑視や身分の差も当然のようにあった時代に、平等主義を貫き、かなり人間味の溢れる手紙を書いている方で、本書にも記載されていたが、日蓮の人徳は日蓮宗の布教に大きな影響を与えたのではないだろうか。 法華経や大乗仏教等の知識も無いため、今後それらの関連書籍も読んでいきたい。2024/06/02