出版社内容情報
彼が焼いたのは、何か。
若き学僧は、破滅を夢見て金閣に火をつけた――。実際に起きた事件に材を取り、三島が自身の戦中体験を重ねあわせて書き上げた『金閣寺』は、まぎれもなく日本近代文学の最高峰。なぜ金閣でなければならないのか。美を破壊する行為が意味するものとは。作家・平野啓一郎が、三島ならではの文学表現を味わいながら、大胆かつ精緻に作品の深層へと迫る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
鉄之助
280
もう一度『金閣寺』を読んでみたい、と強く思わせてくれた名著ガイドだった。平野啓一郎の”金閣寺愛”がビンビン伝わってくる。実際に見た金閣が、それほど美しいものではなかった! 「心象の金閣」と「現実の金閣」の不一致から、この物語が始まったことが重要だ、との指摘が大いにうなずける。本文中に三島の「創作ノート」の写真があって、鹿苑寺の間取り図が詳細に掲載されていた。そこまで調べてこの作品を書いた三島。まさに、彼の最高傑作だ。2021/10/10
こーた
215
番組は毎回たのしく観ているが、テキストははじめて読んだ。テレビはみんなで作って紹介する、というかんじだけど、本になると、講師の先生といっしょに読んでいく、というのがより強く出て、ちょっと趣が異なる。このひとはそう読むのかあ、ならばべつのひとの解釈も知りたい、だから一冊の本を何度でも取り上げてくれてもいいのに、とおもったりもする。いろんな解釈ができるのもまた名著の条件、といえるのだから。ちなみにぼくは平野さんの文章にふれるのもこれがはじめてであった。つぎは小説も読んだみたくなった。2021/09/02
アキ
105
平野啓一郎による「金閣寺」論。昭和31(1956)年刊行された三島由紀夫31歳の時の著作。彼が20歳の時終戦を迎え、国体の中身が空虚であったように、金閣を天皇と見立てたのではないかと論じる。全著作中1人称で書かれた作品は、仮面の告白と本作だけ。最後の一文「生きようと思った」をそれは牢屋しかないという狙いだったと小林秀雄との対談で明かす。次作「鏡子の家」でその後の生き方を模索した。1970年45歳で自死する。この小説は、ベトナム戦争後のアメリカ社会を描く映画「タクシー・ドライバー」の脚本家に影響を与えた。2021/05/26
れみ
91
NHK-Eテレ「100分de名著」のテキスト。「金閣寺」は何度か読み、お芝居も観に行ったことがあった作品だけど、作者の生涯と関連付けて読んだことはなかったのでとても興味深かった。番組のなかで伊集院さんが、この作品が長く読み続けられていることについて「金閣寺が焼けたという実際の事件と、いま僕らはその後三島がああなった(自決した)ことまで知って読む」ということを言っていたのが印象に残ったし、そうかもなあ…と思った。朗読の山田裕貴さんは最近気になってる役者さんなので楽しめた。放送はあと1回。楽しみ♪2021/05/20
おたま
80
以前、三島由紀夫の『金閣寺』を読んだときに、何が書かれているのかがよく分からずに、途中で挫折している。そこで、今回『金閣寺』そのものを読む前の予備作業としてこの本を読んでみた。平野啓一郎による解説で、平野自身はもちろん相当『金閣寺』を読み込んでいるように思う。がしかし、これを読んでもどうも今一つ理解が及ばない。全体的には、戦中から戦後にかけての社会の変容にいかに対応し生きていくのかが描かれているようだ。しかし、そこに「悪とは何か」「美の絶対性」「心象と現実の乖離」「劣等感とその克服」等も描かれており、⇒2025/11/14
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