感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
buchipanda3
117
伊勢物語が読み解かれることで浮かび上がってくる"在原業平"。こちらを読む前は名前は知っているが何となくのイメージしか持っていなかった。モテ男、そして歌人としての才があるという印象。そこに間違いはないが、彼の歌に込められた思いや背景を知ることで、より血の通った人物としての実像が見えてきた。情に厚く、叶わぬことの哀しみを知る者。表面的なことに惑わされず、物事の本質を素直に捉えられる。そんな一面を思い浮かべた。高子との波乱な関係が歌人として成長させたのではというのも印象深い。本編の歌物語もじっくりと味わいたい。2021/01/07
アキ
80
映画化もされた漫画「ちはやふる」の元和歌「ちはやぶる神代もきかず竜田川からくれなゐに水くくるとは」は在原業平が詠んだものと初めて知った。伊勢物語も藤原定家が編集したもので、なぜ伊勢なのか諸説あるというのも初耳でした。漢詩が中心だった宮廷で和歌の名手だった業平の歌が現在まで残っているのは、定家など受け継いでいくものがいたから。源氏物語で伊勢物語を取り上げているのは先見の明があったのか、定家の意図もはいっているのだろうか。「業平」という小説で、その心を紡ごうとする高樹のぶ子の志を強く感じました。読んでみよう。2020/11/28
しゅてふぁん
62
短い話の寄せ集め、恋の見本市として親しんできた『伊勢物語』。今回の先生、高樹さんはこの伊勢物語を業平の一代記として小説化された。高樹さんを通して語られる業平は今まで思い描いてきた人物(繊細で流されるままに生きている)とはまた違って見えてとても新鮮だった。受け身で巻き込まれ型かぁ、何だか女難の相が出てそうな感じ(笑) よし、私も業平の一代記として読んでみよう。「現代に引き寄せて解釈するのではなく、その時代に飛び込んで浸ってあらゆるものを味わう」という高樹さんの言葉通りに平安人になりきって読んでみたい。2020/12/22
獺祭魚の食客@鯨鯢
43
藤原氏との政争に敗れ和歌の道を選んだは紀貫之と同じ。同じ立場でも菅原道真は漢詩で通したのは官人としての意地があったからかもしれません。 光源氏のモデルとも言われる在原業平ですが、どちらも女性への細やかな情愛に満ちた「忖度」ができる人間でした。司馬遼太郎氏の言う秀吉と同じ「人誑し(ひとたらし)」だったのでしょう。 俳優の火野正平氏があの女性遍歴にも拘わらず女性から絶大な人気があるのと同じだと思います。 それは高貴であるかどうかと関係なく、人間的な魅力があるかどうかが問題です。2021/02/28
sofia
37
『小説伊勢物語 業平』を読んでから復習に。(テレビも見ていないし逆の流れだった)現代の作家による、原典を小説として膨らせての作品だが、高校時代に古典が苦手だった私としては、「伊勢物語」のガイドブックであり、この本は「まとめ」を活字化したものでわかりやすかった。先に和歌があっての伊勢物語。2022/02/28