出版社内容情報
日本近代文学史上に燦然と輝く大作家・夏目漱石。彼の作品は、ありがたく押し頂いて読まなければいけないのか? 『三四郎』『夢十夜』『道草』『明暗』の四作品を取り上げ、漱石自身の小説の書き方の変遷などにも目を向けつつ、B級グルメのように作品を味わうことを提案する。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
れみ
87
NHK-Eテレの「100分de名著」のテキスト。1回ごとに取り上げる作品が変わる漱石スペシャル。「三四郎」「夢十夜」「道草」「明暗」の4作品。このなかで読んだことがあるのは「夢十夜」だけだった。久しぶりに読み返すいいきっかけになったし、未読の作品には興味が湧いて読んでみたいなあと感じる内容(放送も含めて)だった。1つの作品を1ヶ月かけて紹介するのもいいけど、こういうスタイルだとテンポがよく内容がわかるから良いな。日本の文豪は一般に名前をよく知られてる作品が複数ある場合が多いからこういうの向きだよね。2019/03/23
しゅてふぁん
58
特に興味を惹かれたは未完の長編『明暗』。登場人物が火花を散らす‘対決小説’だそう。個性の強い女性たちとの会話を読むと主人公がたじたじで楽しい(笑) 650頁を超える大長編、しかも未完だけれど、ぜひ読んでみたい。今までは興味のあるものをちらちらと観たり、テキストを図書館で借りて読むだけだったけれど、ちゃんと準備して積極的に参加するのって楽しい♪これからしばらくはテキストで予習をして番組を観てみよう。2019/03/30
ころこ
37
国民的作家の言説が豊富なのか、議論の水準が高いと思いました。第2回では『夢十夜』の読みを①深読みを楽しむ②解釈の破綻を楽しむ③解釈が及ばない果てしなさを楽しむ④因果律と時間感覚の無効性を楽しむ、と分類しています。優れた作品は陳腐な解釈を拒絶します。夢解釈ではないので、①は無いでしょう。象徴的な連想を無効にする力は、『三四郎』の轢死体の女や、未完で意味が閉じていない『明暗』など、随所にみられる漱石の魅力です。『夢十夜』は意外にも新聞小説として発表されたそうで、最初は意味の無い散文として受け流されたでしょう。2019/08/15
ホシ
18
いつもの本屋で、何故か100分de名著の2019年3月号を売っとった。夏目漱石スペシャルで『三四郎』『夢十夜』『道草』『明暗』が取り上げられています。漱石にとって、人情のこと、お金のこと、労働のこと等など、世の中は不可解なことだらけ。その不可解さがどうしようもなく堪らなかった漱石。留学で心を病んだ後、文学という活路を見出してからは、小康と悪化を繰り返しながらも、不可解を不可解なまま受け入れる「ネガティブ・ケイパビリティ」の境地に辿り着いたのかなと思います。2020/01/26
kinoshita
18
やっぱり漱石最高だなあ。親しみの持てる大文豪。2019/04/11