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NHKテキスト 100分de名著 2017年9月
全体主義の起原 - 不安が求める強い「しるべ」

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  • サイズ A5判/ページ数 109p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784142230785
  • NDC分類 311.8
  • Cコード C9498

出版社内容情報


悪は凡庸さのなかにある

ナチス・ドイツによるユダヤ人問題の「最終解決」。それはある時期のある地域に特有の問題だったのか? それとも──。ナチスの迫害を逃れた一人のユダヤ系ドイツ人の著書を通して、排外主義的な思潮や強権的な政治手法が再び現れつつある今、「人間にとって悪とは何か」「悪を避けるために私たちはどうすべきか」を考える。

目次
【はじめに】 今なぜアーレントを読むか
第1回 異分子排除のメカニズム
第2回 帝国主義が生んだ「人種思想」
第3回 「世界観」が大衆を動員する
第4回 悪は「陳腐」である


講師情報
仲正昌樹 (ナカマサマサキ )講師

金沢大学法学類教授
1963年広島県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程修了(学術博士)。専門は法哲学、政治思想史、ドイツ文学。古典を分かりやすく読み解くことで定評があり、近年は演劇などを通じた思想の紹介にも取り組む。著書は『今こそルソーを読み直す』(NHK出版生活人新書)、『集中講義! 日本の現代思想』『集中講義! アメリカ現代思想』(以上、NHKブックス)、『今こそアーレントを読み直す』(講談社現代新書)、『ハンナ・アーレント「人間の条件」入門講義』(作品社)、『教養としてのゲーテ入門─「ウェルテルの悩み」から「ファウスト」まで─』(新潮社)など多数、訳書に『完訳 カント政治哲学講義録』(ハンナ・アーレント著、ロナルド・ベイナー編/明月堂書店)などがある。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

(haro-n)

87
アーレントの著書は難解とのことで、私も「人間の条件」を読み直ぐに挫折…その後は敬遠していました。この本は「全体主義の起原」と「エルサレムのアイヒマン」の概要を分かりやすく纏めている上に、現代社会の問題との関連性にも触れている為、歴史や思想を学ぶことの意義を感じることができました。反ユダヤ主義は国民意識の形成と密接に関わり、それまでユダヤ人は「外」にあって憎悪の対象だったのが、国民として取り込む中で「内」なる異分子となり、「内」に取り込むことでユダヤ人排除の土台が築かれたとのこと。痛ましく思いました。2017/09/28

Shintaro

62
NHKテキストの感想を上げるのは趣味ではないが【ナチス祭り】を標榜する僕にとって、ハンナ・アーレントはいきなり核心を衝く思想家である。本テキストは『全体主義の起原』全3巻と『エルサレムのアイヒマン』(以下、本編という)をわかりやすく解説している。しかし「わかりやすい」はある意味問題をはらむ。例えば反ユダヤ主義は当時「わかりやすかった」のである。わかりにくくても本編を読むことが僕のミッションだ。本編を読まないということは、僕にとって、ある日隣人が連行されるのを見て見ぬふりをすることとほぼ同義なのである。2017/09/26

おさむ

56
その難解さと長さからこれまで何度も挫折した名著が、NHKの100分deシリーズで放送されると聴き、迷わず購入。「エルサレムのアイヒマン」と合わせて紹介されており、アーレントの思想の真摯さが身にしみます。ナチスを支持し、ユダヤ人を虐殺したのは「考えることをやめて、安直でわかりやすい物語的世界観に追従した大衆」であった。「ごく普通の人も一定の条件下では権威者の命令に服従する」。そして、悪とは「非凡」でなく「平凡な」ものという重たい事実。トランプ大統領の誕生した米国で本著が再評価されていることが実感できました。2017/09/10

1959のコールマン

54
☆5。おそらく現在発行されているハンナ・アーレントものでは一番分かりやすく、従って入門書として最適だろう。彼女自身のことは最小限にまとめ、考え方も「全体主義」に集中して解説が進められている。なお、「イェルサレムのアイヒマン」についても解説あり。「人間の条件」の解説は無し。他をあたるしかないだろう。ただ注意。本書は分かりやすいが「分かりにくい」。熟読しないととんでもない誤解を生むだろう。今現在リアルタイムの日本及び日本人の姿がここにはたっぷり解説されている。熟読プラス深く考えながら読むべし。2020/04/02

かめりあうさぎ

40
国民国家、帝国主義、人種思想を経てやがて産まれる全体主義への流れ。無思想の大衆、それは自分のことでもあると気づかされ寒気がした。誰もがアイヒマンになりうる。それは大袈裟な言い回しでもなんでもないと思った。じゃあそうならないためにはどうすればいいのか。その鍵として「複数性に耐え分かりやすさの罠にはまらないこと」を伝えている。真実を書くことでアーレントが失ったものは大きく、しかしその結果も引き受ける覚悟で執筆を続けた彼女の信念を貫く強さと誠実さを無駄にしてはいけないと思いました。2017/09/17

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