出版社内容情報
「文字イコール文明」というイメージを覆す
「文字による伝達が生まれると文明が生まれる」と見る人類史が見落としてきた事例は多い。本書は、古代ギリシャから中世英国、近代日本、現代バリまで、「声より先に文字がある」「文字記録が信頼されない」例を集め、字を書くことと「口伝え」との境界面を探ることを通じて文明の常識を問いなおす。
内容説明
人類の長い歴史の中で文字の存在はどんな意味を持ったのか。「そこから文明が生まれた」、「音声を残せるようになった」…このような従来の西洋中心主義的な“常識”を脱して本書は、古今東西の文字使用が意外な事例に満ちていることを示す。マクルーハンやオング、グディなど先学者の偏向を見抜き、音声のほうが文字より信頼される古代ギリシアや中世英国、文字を超人的な力の源泉として利用する南米や南洋の例、「語り物」の成り立ちをめぐる柳田國男の論まで参照して読み書き能力への素朴な信仰を動揺させる、刮目の文明論。
目次
第1部 文字の効用をめぐる有力な議論(「文字は認識を変える」か?;「活字は視覚を特権化する」か?;なぜ文字が「届けられない」か?)
第2部 声に権力を行使する文字(音声中心主義を見抜く;文字が読む人の声を奪う)
第3部 書承と口承の境界面(文字が新たな声を生み出す;文字は皮膚に記憶されている;「砂の本」を追いかけて)
打ち言葉と手書きの擁護
著者等紹介
出口顯[デグチアキラ]
島根大学名誉教授・放送大学島根学習センター所長。博士(文学)。1957年、島根県生まれ。筑波大学比較文化学類卒業、東京都立大学大学院社会科学研究科博士課程中退。島根大学法文学部教授、副学長を務める。専門は文化人類学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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