内容説明
知的刺激に満ちた対論、待望の復刊!画期的な景気循環論を展開した、ノーベル賞受賞の経済学者にして社会哲学者ハイエク。競争原理を軸とする西洋的生物観に異を唱え、独自の進化理論を提唱した今西錦司。東西を代表する二人の「知の巨人」が、一九七八年に京都で行った対論を完全収録。生物の進化から言語発生のプロセス、文明化における市場の役割までを討議し、人間的価値の根源に迫る。
目次
1 自然
2 人類
3 文明
附論1 人間的価値の三つの起源
附論2 進化と突然変異
附論3 経済発展と日本文化
著者等紹介
ハイエク,F.A.[ハイエク,F.A.] [Hayek,Friedrich August von]
1899‐1992年。オーストリア・ウィーン生まれ。経済学者、社会哲学者。ロンドン、シカゴ、フライブルクなど各大学の教授を歴任。景気循環論を展開し、自由な市場の優位性を主張。1974年、ノーベル経済学賞受賞
今西錦司[イマニシキンジ]
1902‐1992年。京都生まれ。生態学者。京都大学教授、岡山大学教授、岐阜大学学長を歴任。登山・探検家としても活躍。「すみわけ理論」に基づいた今西進化論を提唱。1979年、文化勲章受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Kazuo
3
ノーベル経済学者、新自由主義の父 ハイエク(1899生れ)に極東の異端の生物学者 今西(1902生れ)が京都弁で突っかかる。論点はなかなか噛み合わないが、「市場」の議論には緊張感がある。今西がポランニー張りに「寺の縁日」や「モースの沈黙交易」は「貴方の考える市場か?」と突っかかる。ハイエクの発言では、「本能を開放するのが、社会主義であり、本能を規制することが自由主義だ」とある。これは現在の新自由主義の主張と真っ向から対立する。ここは非常に重要である。ハイエクから、我々は多くの可能性を学ぶことができる。 2015/05/15
ペンギン伊予守
3
ハイエクは文庫になりませんねえ。2014/12/23
マウンテンゴリラ
2
それぞれの専門分野が生物学と経済学というように、一見かけはなれた両者の対談であるにも拘らず、深い部分で融和のみならず対立の議論にまで至る。まさに、知の巨人同士の対談ならではの醍醐味といったものが味わえた。中でもやはり、今西進化論を中心とした、共生社会への共感といったものが、両者を通じて湧き上がってくるように感じた。今西先生の言うように、生物界が本来、棲み分け、共生を基本に成り立っているのなら、そして、私自身の感覚としても、ダーウィンが唱えたとされる自然淘汰、適者生存といった競争原理よりも、→(2)2019/07/24
鴨長石
1
今西進化論は、今では主流からは外れた考え方かもしれないが、本今西が主張しているようなことは直観的には間違っていないのではとも感じる。「なるべくしてこうなった」というのはルロワ=グーランを想起させるのだが、両者を結び付けるような論説はないのだろうか。一方ハイエクは経済学者ながら生物学・文明論にも造詣が深く、知の巨人と言われるような人たちはやはり圧倒的な好奇心とエネルギーを持っている。二人の考えがこんなにも違うのにも関わらず討論が成立しているのは、彼らの懐の深さのなす業だろう。2021/01/11
多分、器用です
1
分かり合えてないよね2019/08/31