NHKブックス
写楽の深層

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  • サイズ B6判/ページ数 209p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784140912133
  • NDC分類 721.8
  • Cコード C1371

内容説明

江戸時代中期の寛政年間、遽然として姿を現し、数々の名作を描き上げ、忽然と姿を消した、稀代の浮世絵師・写楽。その正体は阿波の能役者・斎藤十郎兵衛に同定されつつあるが、十カ月というあまりにも短い活動期間、代表作「三代目大谷鬼次の奴江戸兵衛」に顕著な、あまりにも異様な造形など、創作にまつわる謎は、まだ多く残されたままになっている。ユング派の分析家が写楽の絵画制作を自己絵画療法の試みとして読み直し、写楽の深層に大胆に迫る。

目次

序章 写楽との出会い
第1章 写楽、降臨
第2章 「初回画」をめぐって
第3章 「三代目大谷鬼次の奴江戸兵衛」―「奴」に関して
第4章 「三代目大谷鬼次の奴江戸兵衛」―「手」に関して
第5章 大いなる治療輪
第6章 自己絵画療法としての写楽画
第7章 燦然たる煙滅
補遺、そしておわりに

著者等紹介

秋田巌[アキタイワオ]
精神科医、1957年高知県生まれ。高知医科大学卒業。医学博士、精神科医、臨床心理士。1996年、チューリッヒ・ユング研究所卒業、ユング派分析家国際資格取得。2004年、日本箱庭療法学会「河合隼雄賞」受賞。現在、京都文教大学臨床心理学部教授、京都文教大学健康管理センター長、日本ユング派分析家協会理事、日本ユング心理学会役員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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Tadashi_N

29
写楽の浮世絵を心理学者が観ると、別の側面があることがわかる。傑作美術は完全体ではない。2017/11/24

ぽっぽママ

7
写楽が誰だったかではなく、ユング派心理学の立場から深層心理学的に写楽の絵を読み解いたもの。 そこからみれば写楽が短期間しか活動しなかったこと、大首絵から全身像へ移って行った経過、未熟といわれている手の描き方などすべてに説明がつくという。 不完全さの美の話、今まであまり取り上げられていない幾つかの扇面図についてなどわかりやすく面白く読めた。2015/01/31

Berlin1888

4
えらそーにいろいろいっていても、世界三大肖像画家の評価はクルトの「写楽」に書いてあるといっている時点で説得力なし。どうしてこの著者は、他の文献の場合と同じように該当の文章をそのまま引用したり、何ページの何行目なのかという注釈をつけることができなかったのか。邦訳の出版そのものが伏せられているし。出版社もテレビ局も調べればすぐにペテンだと分かることくらいはやめてもらいたいもの。要はあることないこと、読者が喜びそうなことを検討もしないで並べ立てているだけのエセ教養本。精神分析にかけた方がいいのは著者自身かも。2016/12/15

上高野

4
心理学の大学教官である著者が、写楽の絵の変化から写楽の精神的変容を解説しようとしたが、力不足から説明しきれなかった、という残念な本。ただ、他者の「写楽○○説」の著作や小説、美術解説書などが本書中で大量に引用されているので、それらをざっと知る上においては有用。2015/03/08

3
「自己絵画療法」という仮定に立って試みた写楽精神分析論であります。 一点モノの肉筆ならまだしも、版元の意向に沿って版下絵を描き、彫り師や摺り師の手を経て店頭で売り出すような量産モノの版画で本書のような仮説が成り立つのか?という疑問はあるのですが、何しろ科学的な検証ではなく物語なのだと著者自身がきっぱり断ってしまっています。おまけに浮世絵の素人だとも。そんなことを述べるのでしたら御自身も他人の見解についても批判を差し控えるべきではないでしょうか。論そのものよりも著者のそうした姿勢になじめず。星2つ。2016/08/10

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