NHKブックス
世界史の中のアラビアンナイト

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  • サイズ B6判/ページ数 276p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784140911860
  • NDC分類 929.763
  • Cコード C1322

内容説明

「開け、ゴマ!」の呪文で膨大な金貨を手にするアリババ。ランプの精の助けを得て、大金持ちとなったアラジン。魔法と金銀財宝のイメージに富むアラビアンナイトの物語は、世界中の読者を魅了し、中東文化をのぞきみるための窓となった。しかし、この物語集はどこまで中東を表象できているのだろうか?九世紀の中東に生まれたアラビアンナイトは、十八世紀にヨーロッパ世界へ翻訳紹介されてからというもの、従来の姿から自在に変容を遂げることで世界文学の地位を確立した。近代の幕開けと西欧植民地主義によって翻弄された物語の来歴を、世界史のダイナミズムの中に描き出す。

目次

序章 エブリマンズ・アラビアンナイト
第1章 アラジン、アリババ、シンドバード
第2章 アラビアンナイト成立史
第3章 光は東方より―ガラン版
第4章 東方の夢―失われた写本を求めて
第5章 インドへの道―征せよ、ブリタニア
第6章 エジプト系伝承の集大成―ブーラーク版
第7章 オリエンタリズムの文学的結実―マルドリュス版
終章 シェヘラザードをめぐって―世界文学への道

著者等紹介

西尾哲夫[ニシオテツオ]
1958年、香川県生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程修了。文学博士。東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所助手、同助教授、国立民族学博物館助教授を経て、人間文化研究機構国立民族学博物館教授・総合研究大学院大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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へくとぱすかる

53
子どものためのおとぎ話として紹介されたかと思うと、大人の楽しむ好色文学として扱われたり、という「アラビアンナイト」は、それこそ変幻自在に姿を変えて伝えられてきた。写本や印刷本の歴史をたどって、見事に世界史の流れに位置づけられる(歴史の力に翻弄されたとも言える)のに驚く。意外なのはヨーロッパ文化の関与。完全版があると信じて文献の発掘が進められたとはいえ、実際には原本にない物語を、多くの人々がどんどん追加していった結果、本当に千一夜の分量になっていくプロセスが興味深い。当のシェヘラザードが一番驚いているはず。2023/04/25

こつ

9
ガラン版、レイン版、バートン版、マルドリュス版の違いへの理解が深まりました。キャラクターの個性が薄いからこそ、再話しやすくアレンジされてどんどん広がっていくアラビアンナイト。お話自体も面白いのに、アラビアンナイトにまつまる実話もよくできたお話のように面白いです。2022/08/28

ぽっぽママ

9
世界史の中での位置付けというより写本の歴史。アラビアンナイトの話は中東だけでなくエジプトの話も多いこと。千一夜分の話を集めるために苦労したこと。西洋人のアラビア語の習得は聖書研究に必要だったためなど知らない話も 多かったけれど私の期待とは方向性が違っていた。2018/07/01

tsubomi

6
2014.02.05-02.12:冒頭で「アラビアン・ナイト」を巡る現在日本での状況をサラッと紹介。締めくくりに、枠物語の意味について解説。それ以外は、この物語の成立の歴史についての詳細な説明。時々頭が混乱するくらいに入り乱れた人間関係と資料の錯綜ぶりに閉口する部分はあるものの、中世までに口承文学として伝わったペルシア、アラブ/イスラム圏の物語が、植民地政策に熱心だった英仏の思惑と出会い、世界文学になった、という流れ。でも、最も印象的だったのは物語へ誘う重要な役どころの才色兼備の女性シェヘラザード。2014/02/12

takao

3
9世紀にはすでにあった。2017/06/05

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