内容説明
「開け、ゴマ!」の呪文で膨大な金貨を手にするアリババ。ランプの精の助けを得て、大金持ちとなったアラジン。魔法と金銀財宝のイメージに富むアラビアンナイトの物語は、世界中の読者を魅了し、中東文化をのぞきみるための窓となった。しかし、この物語集はどこまで中東を表象できているのだろうか?九世紀の中東に生まれたアラビアンナイトは、十八世紀にヨーロッパ世界へ翻訳紹介されてからというもの、従来の姿から自在に変容を遂げることで世界文学の地位を確立した。近代の幕開けと西欧植民地主義によって翻弄された物語の来歴を、世界史のダイナミズムの中に描き出す。
目次
序章 エブリマンズ・アラビアンナイト
第1章 アラジン、アリババ、シンドバード
第2章 アラビアンナイト成立史
第3章 光は東方より―ガラン版
第4章 東方の夢―失われた写本を求めて
第5章 インドへの道―征せよ、ブリタニア
第6章 エジプト系伝承の集大成―ブーラーク版
第7章 オリエンタリズムの文学的結実―マルドリュス版
終章 シェヘラザードをめぐって―世界文学への道
著者等紹介
西尾哲夫[ニシオテツオ]
1958年、香川県生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程修了。文学博士。東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所助手、同助教授、国立民族学博物館助教授を経て、人間文化研究機構国立民族学博物館教授・総合研究大学院大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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