NHKブックス
欲望としての他者救済

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  • サイズ B6判/ページ数 254p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784140911211
  • NDC分類 369
  • Cコード C1310

内容説明

わたしたちは日々、さまざまな場面で他者へ手を差しのベようとする。お年寄りに席を譲り、災害救援のボランティアに出かけ、発展途上国へ井戸を掘りに行くこともある。このように自分の利益や資産、時間を消費してまで他者を救済することにどのような理由付けが可能なのだろうか。ホッブズ、ルソー、ヘーゲルらの哲学・思想を援用しつつ、自身も在日韓国人政治犯救援運動に関わった経験を踏まえ、人権論の立場から、ひとつの方向性を提示しようという試み。救済に逡巡するすべての人を力づける一書。

目次

序章 なぜ君は手を差しのべるのか
第1章 わたしと他者救済
第2章 響きあいの他者救済
第3章 義務としての他者救済
第4章 欲望としての他者救済
終章 他者救済の思索の終わりに

著者等紹介

金泰明[キムテミョン]
1952年大阪市生まれ。在日韓国人政治犯を救援する家族・僑胞の会事務局長(1976年~90年)、在日韓国民主人権協議会共同代表(1990年~95年)を経て、明治学院大学大学院国際学研究科で近代哲学と現象学を学ぶ。国際学博士。英国エセックス大学大学院人権理論実践コースで哲学・倫理学・政治学を学び、M.A.を取得。現在、大阪経済法科大学アジア太平洋研究センター教授。専攻は、人権学(マイノリティの権利論、共生社会論)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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昌也

1
金泰明氏は、“人それぞれなのになぜ平等なのか”という問いへの答えをカントとヘーゲルに求めている。「カントは、人間は人格をもつ存在として本来平等であるとしました。ここでいう「人格」とは「人間の尊厳、自己決定できる存在」という意味です。また、ヘーゲルもこれを受け継ぎ、人間が尊重されるのは人格(自由な意志)を有しているからであるとしました。人間はその属性―出自・身分・性別・信条・思想・財産の多寡などーにかかわらず、人格(自由な意志)において誰もが平等であるというのです。」これは現代人権論の基本概念であるという。2021/04/05

0
キーワード飛び付き本。過程が難しかった。特にセン。昔からボランティアとかできない人で、自分を差し置いてというのができないことへの後ろめたさがあり、それは自己中心性、自己愛への後ろめたさなのだと。内向的すぎてなんでこんな自分のことしか考えられないのだという自分のパーソナリティへの嫌悪からこじれていたのでしょうか。謎。自分が最初でいいというのは収穫です。結局こんな仕事してるし人の役に立ちたいということをもうちょっと正確に言うと人の役に立ちたいという私の欲求を満たしたい、ということのようです。ヘーゲルさん読もう2016/12/03

HolySen

0
11・22事件と呼ばれる、在日韓国人の韓国への留学生がスパイ扱いされて逮捕された事件の救援活動期を中心に、筆者の(多くは在日韓国人としての)「他者救済」について考えさせられる場面を回想し、適宜思想家の知見を参照しながら筆者なりの答えを出していったもの。カント、アマルティア・センの「定言命法」「コミットメント」などのような、自己利益を超えた外発的な「義務としての他者救済」と、ヘーゲル、ルソーの「両親」「自己愛」などのような、自己から出発した「欲望としての他者救済」を対比して語っているのが本質的な部分だろう。2016/03/29

gado

0
共産主義プンプンなのでそっくりそのまま「うんうん」とはならないけど、自分がよかれと行った救済と、相手が求めている救済が必ずしも一致せず、それが欲望としての救済だったとき、一致したときに喜びを感じるというのは理解できた。2009/12/12

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