NHKブックス
“性”と日本語―ことばがつくる女と男

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  • サイズ B6判/ページ数 252p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784140910962
  • NDC分類 810.4
  • Cコード C1381

内容説明

「おれ/あたし/ぼく」などの自称詞から「~ぜ/よ/だ」の文末詞まで、日本語には性が刻まれている。一見、自然な言葉づかいに思える「女/男ことば」が、性についての規範と結びついてきたことを歴史的に示し、ファッション誌のコピーや翻訳小説の文体などにも、性の刻印が時代変化に即して捺されていることを、明らかにする。「乱れ」を批判される若者たちなどの“ずれた言語行為”に、多様な自分らしさを表現するための創造的な試みを見いだし、開かれた日本語の伝統づくりへの道筋を示す、野心的日本語論。

目次

1 「わたし」はことばでつくられる(ことばとアイデンティティ;「翻訳」のことばを読む―再生産される言語資源)
2 日本語に刻まれた“性”(セクシュアリティと日本語;変わりゆく異性愛のことば―「スパムメール」「スポーツ新聞」「恋愛小説」)
3 創造する言語行為(なぜ少女は自分を「ぼく」と呼ぶのか;欲望を創造する―消費社会と“性”)
「日本語=伝統」観の閉塞を超える

著者等紹介

中村桃子[ナカムラモモコ]
1955年東京都生まれ。上智大学大学院外国語学研究科言語学専攻博士課程前期修了。関東学院大学助教授、ブリティッシュコロンビア州立大学客員研究員などを経て、関東学院大学教授。専攻は言語学。メディア論的な視点も踏まえながら、言語とジェンダーのかかわりをさぐる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

katoyann

19
「正しい日本語」というメタ言説が、規範からの「ズレ」を伴う言語行為を否定することで、その「ズレ」が持つ創造性を潰すということを中心的な論点としている。その際、ズレとして修正の対象になるのは、女性の言葉遣いである。女性は、家制度的な伝統が潜む「女らしさ」を守らなければならないとされる。性愛に対しては、受動的で従順な役割が言語のレベルで埋め込まれているため、性被害に遭ったときに対抗するのに有効な語彙を持たない。つまり、「正しい日本語」というメタ言説は、ジェンダーの権力関係を再生産する機能があるという。大著だ。2021/09/10

ネギっ子gen

8
<ジェンダーだけではなくセクシャリティの視点から、ことばとアイデンティティのかかわりに>切り込んだ本。<読者を「正しい日本語」の呪縛から解放し、日本語を通してかけがえのない出会い>の実現を目指す。冒頭に『ののちゃん』の藤原先生が登場し『スラムダンク』の絵まで掲載されているのが嬉しい(因みに著者もファンのようで)。【共感】①<「おれ」を使うことは、男性の内面の弱さを覆い隠して強く見せかける反面、男らしさで締めつけて身動きできなくなってしまう>と。同感だ。自分の場合も「俺」は厭だが、適当な自称がなくて困る。⇒2020/03/22

しろ

7
☆7 面白いし解りやすいけど、実は難しい。だんだんと理解が追い付かなくなったから読みなおしたい。言葉を単体でみてしまうと「言葉が乱れてる」と切り捨てがちになるが、その言葉づかいが表すものをよく考慮すれば、それはその人のアイデンティティや精神状態を表現しているということに気づく。日本語は男女での言葉づかいに差異があり、それがズレを生み出している。しかも男と女の言葉の関係は対等ではない。ややこしい論理もあるけど、言葉の奥深さに新たに気づけるいい本だった。――少女はなぜ自分を「ぼく」と呼ぶのか。の帯文も良い。2011/05/11

chisarunn

5
日本語は「話し手を〈男〉と〈女〉に明確に区別する。」確かにそうだ。これは書き手にとって便利だったり、ミステリにとって有効だったりする。そのことにはあまり疑問を感じていなかった。が、これは諸刃の剣であることをはっきりと言及してある。爽快だ。自分は、書くときの自称を基本「自分」とする。これは文末の語感と齟齬をきたさないようにと思ってのことなのだが実はジェンダー的に何かがあるのかもしれない。ってあるに決まってるだろ、BL好きなんだから。2022/03/18

takao

2
ふむ2023/04/30

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