内容説明
会社の肩書きを剥奪され、一人の個人として呆然と佇む初老の男たちがいる。団塊よ、勤勉を是とする日本近代の歪みが露呈している今、がむしゃらに走ってきたキミたちは、「何もしない」という勇気を持つべきではないか―食べ物、映画、文学、そして学生運動…戦後60年の世相を、団塊たちの談話をもとにきめ細かく想起し、彼らの自己形成の過程を追いながら、追いつき追い越せの強迫観念から始まった日本近代を総括する。
目次
時の因果律
1 生温かい闇のなかから(誕生と喪失―生まれなかった団塊のこと;墓碑銘としての九条―憲法発布から朝鮮特需へ)
2 豊かさへの全力疾走(フジヤマのトビウオ―ラジオと漫画の黄金時代;「平和の世界をつくるのさ」―ヒーローと戦後民主主義)
3 農村から都市へ、漂流する魂(性とリズムの解放―チャタレイ裁判からモダンジャズへ;怨念の豆単―進学と集団就職のはざまで)
4 ニッポン「富国論」の総括(全共闘は月光仮面である―「正義」をめぐる闘争;「個」として佇む―無為のススメ)
著者等紹介
橋本克彦[ハシモトカツヒコ]
1945年、宮城県生まれ。日本大学芸術学部除籍。雑誌記者を経てノンフィクション作家。1984年、『線路工手の唄が聞えた』(JICC出版局)で大宅壮一ノンフィクション賞受賞。90年、『日本鉄道物語』(講談社)で交通図書賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬弐仟縁
4
世間的に評者は団塊ジュニアと呼ばれているが、団塊世代の上司は嫌だった。そりが合わなかったことを正直に吐露しておきたい。人口減少という地獄 の節(11頁~)。著者は1945年生まれで68歳。評者の大学院の教官と同じか。安保闘争してそうな気がする。団塊の親たちは受身だった(23頁)とは、さすがに今の人口減少社会を知らないで亡くなっているのでなんとも言えないが、こんな少子化になるとは考えてもみなかったと思える。集団行動が好きそうな彼ら。団体旅行とか合唱が好きそうな彼ら。異端児はいるだろうが、なんとなく敬遠かな。2013/03/03
kenyoi
2
団塊の皆さんどうぞゆっくりとお休みください。2011/09/02
臓物ちゃん
1
団塊の世代がどういう青春を歩んできたのかを知りたくて読んだんだけど途中で読む気が失せた。なんかこう余分な情報が多いっていうか、小説みたいなんだよなこの人の文章。相互理解というのも難しい。2014/03/18