内容説明
私たちは「自分とは何者か」を探し、「幸福とは何か」を求め、「いかに生きるべきか」悩み、やがて「死」をむかえる。人生に満ちる問いは、問題集のようには答えが出ない。しかし、ナゾナゾのように、愉悦をもたらすものだったら?デカルトが通り過ぎ、カントが格闘し、ヴィトゲンシュタインがいらだった、哲学史に隠されたナゾナゾ=「謎」をめぐる闘いを照らし出し、論理的思考では超えられない人生の問いを生きぬく芸「ハビトゥス」を示す。「謎」を生きる芸を身につけることで、生きる意欲が生まれる。ニヒリズムを超えて生きるための、異色の人生論にして哲学入門の登場。
目次
第1章 つまずきとしての「謎」を考える
第2章 ヴィトゲンシュタインの人生論
第3章 「私」をいかに身につけるか
第4章 つまずきと「希望」の微妙な関係
第5章 「欲望」はどこから来て、どこへ行くのか
第6章 人生にとってつまずきとは何か
著者等紹介
山内志朗[ヤマウチシロウ]
1957年生まれ。東京大学大学院博士課程単位取得。新潟大学人文学部教授。専攻のスコラ学など中世哲学から、メディア論・コミュニケーション論・身体論までを幅広く論じる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
りんにゃん
2
ソクラテス、プラトン、カント、ニーチェと言った頂点の哲学者達の言動を追いながら謎とは何かを考え、それを皮切りにして私とは何か、希望とは何かといったテーマを考える。中でもヴィトゲンシュタインが多く取り上げられており、彼の魅力を引き出した良書だと思った。2014/06/01
ぽこぺん
2
この本にもつまづいてますが、「いまここ」なんだな。奈良さんの絵が深い。2013/03/31
ピロロン
1
<謎>とは何なのかからスタートし、<つまずき>を材料にしながら<私>とは何なのかという壮大な問いに至る人生論。哲学書というとどうもお堅い感じが拭えず、数ページで挫折することもあったりするのだけれど、これは大層読みやすかった。表現も分かりやすい上に面白い。人生とは何なのかと鬱々と悩んでいる大学生あたりが読むと良いんじゃなかろうか。自分自身がそうだし、割りと効いたし。2013/03/18
ハクさん
0
例えが面白くてわかりやすい。「謎は溶ける」がイメージできた。資本主義と全体主義ありきの解釈であるように感じた。すべての試論が現代思想的正解に帰結しており、結論ありきで難解なウィトゲンシュタインを裏付けに利用しているように思えた。倫理についてももっとアプリオリな解釈ができそう。意味にもイデアにも時空の概念があり普遍性はないが、かと言ってイデアは無いわけではないのかなと思った。