NHKブックス
スロー地震とは何か―巨大地震予知の可能性を探る

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  • サイズ B6判/ページ数 269p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784140910559
  • NDC分類 453
  • Cコード C1344

内容説明

1995年兵庫県南部地震以後、地震の観測網は格段に整備され、日本列島は常時、想像もつかない動きをしていることが明らかになった。海洋プレートが列島の下に沈み込み蓄積される巨大な歪みエネルギーが、断層の高速滑りによって一瞬の内に解放されるのが巨大地震。しかし、プレートが年間10cmの高速で沈み込むにもかかわらず、それに見合うだけの地震が起こっていない。大きなギャップがある。この謎に迫るさまざまな試みの中で発見されたのがスロー地震である。マグニチュード7クラスの地殻歪みを、何日~何年もかけてゆっくり解放し、長周期の大地殻変動を起すため、人間に感知できなかったのだ。この新しい知見を地震予知にどう生かすのか?地震のメカニズムを摩擦法則によって謎解きしていく面白さに満ちた、地震大国日本に住む人々にとって必読の書。

目次

第1章 地震はディスロケーション
第2章 スロー地震とは何か?
第3章 三陸はるか沖の大型スロー地震の発見
第4章 兵庫県南部地震と地震予知研究体制の転換
第5章 次々と見つかるスロー地震―相模トラフと南海トラフ
第6章 スロー地震は何故発生するのか?
第7章 水とスロー地震
第8章 次の南海地震と東南海地震の予知を目指す
第9章 地震予知周辺の「知」

著者等紹介

川崎一朗[カワサキイチロウ]
1946年、大阪市生まれ。1976年東京大学理学部地球物理学科大学院博士課程修了。専攻、地震学・測地学。1978年富山大学地球科学教室助教授、1993年教授、2002年京都大学防災研究所教授。この間、1979‐1980年MIT(マサチューセッツ州ボストン)、1984年‐1985年コロラド大学(コロラド州ボールダー)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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パパ

1
スロー地震とはゆれの周期の長い地震で、人間がゆれと知覚できないほどゆっくり断層が動くことによって生じる。著者はこの研究者であり、北緯40度以南の日本海溝・千島海溝(東日本大震災の震源域)で見られる歪みの蓄積から考えて生じ得る地震が、過去千年に起きた地震記録から見て少ないことから、これをスロー地震が起きている可能性を示すものと考えていた。この地震の空白域の問題について著者のように積極的に仮説を提起し、議論が重ねられていればと思わずにいられない読後感であった。2011/03/29

菜の花

1
ちょうど地震が続発している頃に、タイムリーに読みました。地震学の研究者による、一般向けの教養書。スロー地震という聞き慣れないものを、見事に解説しつつ、巨大地震予知関係の知識が得られる作品。理系の高校生が理解できるレベル…かと言って知っているであろう初歩的知識だけを選んでくるのではなく、追えるような論理展開を目指した、というだけあって、専門的な研究の話を内容のレベルを落とすことなく説明している良書です。2010/10/03

kazinagaki

0
マグニチュード7クラスの地殻歪みを、長い時には何年もかけてゆっくり解放することで人間には感知出来ないスロー地震。これによって年間10cmもの高速でプレートが沈むところで大きな地震が記録されていないひとつの説明が出来る。摩擦と水をキーに説明されるメカニズムは非常興味深いものだった。しかし三陸はるか沖スロー地震の解析結果は惜しいと思わざるを得ない。"過去1400年間歴史地震の記録のない非常に不思議な釜石沖•宮古沖の小セグメント(北緯39~40度、東経142~143度があるからである。何故かは分からない。神様は2012/01/19

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