NHKブックス
うぬぼれる脳―「鏡のなかの顔」と自己意識

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 331p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784140910542
  • NDC分類 491.371
  • Cコード C1340

内容説明

脳は、鏡に映った像をいかに自分であると認識するのか。他人の心を読み取る能力は、脳のどこで発揮されるのか。チンパンジーやサルなど他の霊長類との比較検討をふまえ、「私が私である」という自己意識や「私」と「あなた」を弁別するナルシスティックな力が右脳優位で生じることを明らかにする。言語能力と結びついた左脳を重視する通説を覆し、「自己の右脳局在説」で脳科学の常識に挑む衝撃の書。

目次

序章 意識とはなにか
第1章 鏡のなかの顔―意識をいかに測定するか
第2章 己を知るチンパンジー―鏡のテストと類人猿
第3章 自己が芽生えるとき―セルフ・アウェアネスの発達
第4章 あなたが知っていることを私は知っている―心の理論
第5章 右脳は劣位か―脳の構造と機能
第6章 脳はどこで自分を見るのか
第7章 自己を失った脳
第8章 私とあなたが出会うところ
第9章 セルフ・アウェアネスはなぜ存在するのか?―新しい脳のモデルを描く

著者等紹介

キーナン,ジュリアン・ポール[キーナン,ジュリアンポール][Keenan,Julian Paul]
ニュージャージー州立モントクレア大学認知脳機能画像研究室長。神経科学者。ハーヴァード医科大学講師およびリサーチャーを経て現職。現在は脳外傷、統合失調症、自閉症、アスペルガー症候群、その他の脳疾患に起因するセルフ・アウェアネスの障害を研究テーマとしている。『ネイチャー』(2001年)に掲載されたセルフ・アウェアネスに関する研究は、アメリカ国内外の多数の新聞、雑誌、ラジオ、テレビで報道され、大きな反響を呼んだ。ニューヨーク州立大学オールバニー校およびニューパルツ校、ハーヴァード医科大学では後進の指導にあたっている

ギャラップ,ジュニア,ゴードン[ギャラップ,ジュニア,ゴードン][Gallup,Jr.,Gordon]
ニューヨーク州立大学オールバニー校心理学教授、学科長。研究テーマは人間、霊長類、そのほかの動物の進化と行動。ギャラップが考案した画期的な「鏡のテスト」は、セルフ・アウェアネスや意識の研究に新たな方向性をもたせた。ニューヨーク州立大学オールバニー校のほか、チューレーン大学、ワシントン州立大学霊長類研究センターでも教授ならびにリサーチャーを務めている

フォーク,ディーン[フォーク,ディーン][Falk,Dean]
フロリダ州立大学人類学教授。特に関心のあるテーマは性差、および脳内の言語と音楽の起源。人類が大きな脳の加熱をどのようにして防いでいるかを説明する「ラジエター仮説」で有名

山下篤子[ヤマシタアツコ]
翻訳家。北海道大学歯学部卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ひさしぶり

18
チンパンジーが鏡を見て自分の顔と認知するかどうかの実験から、人の右脳が自分の思考を省みる能力セルフ・アウェアネスを持っていると検証している。自閉症、アスペルガー症候群等の対人関係等の機能不全の起因さらに子供の成長過程の気づきにも触れ興味深かった。左脳が意味的記憶を知っていて右脳がエピソード的記憶を覚えている。人間はものごとを知っているだけでなく、自分が知っていることを知っている。●左利きの人の方が嘘の検知にすぐれてる  なんだって!2021/02/14

うえ

7
「どうやら、人は自らが見ている映像に解釈を感覚的に貼り付けているらしいことが分かっている。よく知っている漢字をじっと眺めていると、それまで当たり前のように感じていた漢字に対する認識が崩れてきて…間違っているような奇妙な感覚に襲われる…このような現象をゲシュタルト崩壊と呼ぶ…カプグラシンドロームと呼ばれる症状では、自分の両親を始めとする親しい人たちを…違う人間であると断言する。…逆にフレゴリシンドロームと呼ばれる症状では、まったく見知らぬ相手に対して、自分自身や夫、妻のような身近な相手を見出してしまう」2018/07/18

ぽんぽこ

2
ひと月くらい時間をかけて読了。脳科学という知らない世界の本なので、とにかく読了まで大変でした。人間が人間たるためにはセルフアウェアネスが必要なのか、ならばチンパンジーが鏡で自分を認知しているのはなぜか、いやいや本当にチンパンジーは鏡の中の自分を認知しているのか。じゃあ幼い子供はどうなのか。読めば読むほど密林の中に入っていく感覚がしました。2024/10/31

しんかい32

2
内容を反映していない邦題とコワすぎる表紙絵が気になるが、良い本。自意識を生み出すのは主に右脳である、という仮説を実験により丁寧に検証する。それだけの内容ではあるが、射程はけっこう広い。ラマチャンドランの本に出てきた「鏡失認」や「半側否認」の症例も、この観点から明快に説明されるし、また言語能力と自意識が脳の別々の領野に由来することを示し、自意識を言語能力の産物とするような立場に再考を促してもいる。2010/03/26

ばにき

1
自己に関する研究も、自己関連の感情、記憶、認知などのさまざまな対象に、脳部位や進化的な意味など多角的な視点があることがわかった。2022/03/12

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/196281
  • ご注意事項

最近チェックした商品