内容説明
「改革」は社会に何をもたらしたのか。景気が回復したと言われる一方で、大企業と中小企業、正規雇用と非正規雇用、都市と地方、投機マネーと家計貯蓄の間に、超えがたい断層線が刻まれたのではないか。郵政民営化など公的部門の改革や、不良債権処理に伴う市場改革の結果、何が起こったのかを探り、既存の経済理論では説明しえない日本社会の現実に迫る。経済分断を克服するための、信頼形成のビジョンを説く注目作。
目次
1 「構造改革」と無秩序化する経済(「経済」が見えなくなった―景気はどう「回復」したか;一九九七年不況の原因―「不確実性」をめぐって)
2 民営化が公共性を蝕む―「構造改革」の第一の柱(必要な民営化、不要な民営化;国民が年金から逃げ出した;一体化する日米関係)
3 「市場の純粋化」は何をもたらしたか―「構造改革」の第二の柱(市場競争の光と影―自動車産業の場合;「都市再生」が景観と住まいを破壊する;直接金融化は企業を健全にするか;企業と学校はどう変わるか)
「分断された経済」を生きる
著者等紹介
松原隆一郎[マツバラリュウイチロウ]
1956年、神戸市生まれ。東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。専攻は、社会経済学、相関社会科学。東京大学大学院総合文化研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ぽん教授(非実在系)
2
小泉時代の本だけども、現状分析(構造改革派とか、金融政策重点なリフレ派とか)は当たっているし今でも通用する部分が多いのはやはり失われた何十年の継続故か。大秀才に向いた仕事をせっせとやるとこの著者はうまく波に乗れるタイプである。2017/09/28
ELW
0
伊藤元重や伊藤隆敏よりもずっと分かりやすく、社会の移り変わりが説得力をもって語られていると感じられました。「解釈の図式」というドグマが 指摘され、「パラダイム」が皮肉に解説されている箇所はとくに痛快でした。参考文献も面白くて充実。『日本銀行は信用できるか』を読んでおいて良かった。2014/03/09
じょに
0
この人ホントにブレない。2009/04/03