出版社内容情報
なぜ声や話し方で「印象」が変わるのか。音から意味が紡ぎ出される仕組みから、それぞれの音の発音方法の詳細、音声コミュニケーションを支える体の不思議までを網羅。俳優、歌人、ラッパー、声優、歌手、アナウンサーなど、「声のプロ」たちとの豊富なエピソードを題材に、多数の図版を使いながら「伝える・伝わる」の謎をわかりやすく解説する!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
tolucky1962
8
アナウンサーはしっかり唇を閉じて説得力を増す。声は非論理を担う。萌音さん「さびしくなるよ」。び:唇をとじきらず→筋肉使わず→行きたくないを表現。よ:母音をじんわり終える→けだるさを表現。小さい抑揚→やる気のなさを示す。咽頭を上げて高音→体の小ささ→若々しさを表現。笑顔キープ→両歯音の代りに唇歯音→笑顔を伝える。日本語で両唇音/唇歯音は『ゆれ』で区別しない。許すゆれは言語で違う。英語はso coooooolなど音の長さはて許される『ゆれ』だが,日本語では「おばあさん」「おばさん」のように区別される。2025/06/29
新平
6
日本語の発音をMRI画像でIPAと対応しながら解説している第三章の解説が英語の発音を考えるのにも役に立つ。第三章では発音の仕方を解説しているが、結果的に発生する音の響きが大事である、という立場もあるらしい。英語の発音の教え方に差があるのはこのためだったか。2025/05/19
まちこ
5
ブログみたいな文体でほんとに読みやすい。歌手、俳優、ラッパー、俵万智との交遊から発声して伝える言語の本質が浮かび上がる。プリキュアに両唇音が多いとか例もチャラい。進化ポケモンは濁音が多いが実際濁音の発声時に口腔は広がる。ソクラテスは子音sを風と言い俵万智は爽快感と言うがこの通底はソシュール的にはナシだという。IPA基準の調音点・調音法・有声性を意識するのは声を操るのに有用、何故アーだと歌える音が歌詞だと出ないのかわかった。終章、有名人との交遊で自意識をヤられた著者の告白は文庫版五体不満足みたいでよかった。2025/09/12
門哉 彗遙
5
「音声学を学ぶと人生が豊かになる」と書かれていた。実際、上白石萌音さんや俵万智さんが登場するあたりは惹き込まれていったが、悲しいかな、「音声学」だけに、文字で表現されるのを理解していくのが困難であった。だから僕はいまも豊かではない(笑)。2025/07/02
Karak
5
音声言語学を一般の人向けにおもしろく語らせたらピカイチと思われる川原先生の新刊。音象徴やプリキュアの名前などこれまでの著書とかぶる部分もあるが、舞台俳優の演技を音声記録から分析したり、ボーカリストの声帯の使い方を読み解いたりと実演家との接続がたいへん興味深く読めた。知り合いのボイストレーナーにも紹介しようと思う。 2025/05/13