出版社内容情報
まるで『カラマーゾフ』の大審問官。これは、現代の「ツァラトゥストラ」だ!
全世界で22億5000万人もの信者を有する一大宗教であるキリスト教。しかし、その実態について、日本人のほとんどが理解していないと著者は言う。そこで著者はキリスト教の成立前後に着目し、こう断定する。
キリスト教は、神でもイエスでもない、それぞれの教会の指導者の「教え」と、それを「信じ込む」者との関係で成り立っている。そしてその構造は、イエスの時代からすでに始まっており、ありもしない「なすべきこと」を神の教えと信じ込ませた「神なし領域の宗教ビジネス」である――と。
ストラスブール大学神学部出身の神学者が、自身の研究の集大成として世に放つ、”あなたのキリスト教観が180度変わる”類書皆無の宗教論!
序――キリスト教は西洋文明にとっての本質か
第1章 「キリスト教」についてのアプローチ
第2章 ユダヤ教の諸段階
〈1〉カナンへの定住――普通の一神教[前十二世紀]
〈2〉北王国の滅亡――本格的な一神教[前八世紀前半]
〈3〉神の前での〈自己正当化〉の排除[前二~前一世紀]
〈4〉「律法主義」への収斂[一世紀末]
第3章 キリスト教の成立
〈1〉神に選ばれたイエス
〈2〉さまざまな教会のさまざまな教え
第4章 キリスト教と「世俗化」
第5章 日本とキリスト教の関係について
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ラウリスタ~
12
ほとんどトンデモ本としか思われないのだが、著者はフランスで神学の博士号を取っている。どうやらキリスト教神学を研究していく過程で、キリスト教とは神なしに宗教ビジネスを行い、民衆を従属化することに特化したことで一時期はローマ帝国と西洋社会において重宝されたが、現代では必要性を失った、という極めて明快な「真実」に辿り着いてしまった、ということのようである。人間は罪深いという自意識=神を操れるという傲慢、など極めて刺激的な説明が多い一方で、著者の個人的な怨恨(目の前で屈伸する同僚)や、自分の文明論の全能性誇示など2023/11/20
ようへい
11
私は今、地球というか、この世に生きている至って普通の人間である。その一方で、別の次元に私たちの様な生命体がいるとする。私が気まぐれに何か良い事をしたら、それが連動していて、別の世界に、争いに勝ったり豊作になったり何か良い事が起きる。別の世界の人々は何か神の様な物をこさえて感謝する。その感謝は私に届くはずもなく、私も彼らの存在を知ることはない。彼らは幾度か救われようと努力をするが、それが私に届くことはない。しかし、物凄い偶然によって私は彼らのうちの一人と意思疎通ができてしまった。殆ど途切れたラジオのように。2025/02/14
かんがく
10
キリスト教に無理解な人々に対する著者の語調はかなり厳しい。「民が罪深いから神が救ってくれない」、「キリスト教は2つの愛さえ大事にすれば良い」みたいな一般的理解に対して、様々な図や喩えを使いながら批判を加えていく。途中論理がかなり複雑でわかりにくかったが、明快な論理でわかった気になるような態度を筆者は批判しているのだろうなと思った。2023/12/17
田中峰和
8
映画化もされた遠藤周作の「沈黙」。物語では信者たちは神への信仰を捨てず、火刑に処されるが、神は沈黙し続ける。ユダヤ人は征服され続けるが、ヤーヴェは救ってくれない。救いを求めるのではなく「神の沈黙」に耐えるため、律法主義に収斂していったユダヤ教。神の扱いで限界に達したユダヤ教だが、イエスによってようやく神は動いた。不在であったヤーヴェに対して、イエスを神の化身として信者を獲得したキリスト教は、神なし領域の宗教ビジネスとして世界に拡大していく。プロパガンダとして有能なパウロの役割は大きかった。2024/09/14
リットン
7
宗教は、社会であり、組織であり、ビジネスでもあるのだなぁと感じた。この著者の批判の仕方、自分や自分の好きななにかが批判されてるわけでもないけど、なんか偉そうで嫌いだなぁ。正しい、間違ってるは知らんけど、そんな、「こいつは愚かにもわかってない」みたいな言い方せんでいいだろって思ってしまった。2024/01/28
-
- 電子書籍
- ぎんぶら ~銀河ぶらりと調査隊~(分冊…