出版社内容情報
信玄が見抜いた、家康の弱点とは?
2023年大河ドラマ「どうする家康」の時代考証者が、家康最大のターニングポイントとなった三方原合戦の真相と、歴史的意義に迫る!
内容説明
若き家康に絶体絶命の危機をもたらし、その後の戦国史を大きく転換させた三方原合戦。これほど著名でありながら、あらゆる情報が謎に包まれており、合戦場すら明確とは言い難い。果たして、そこで何が起きていたのか。かの家康が大敗を喫したのはなぜか。大河ドラマ「どうする家康」の時代考証者が、家康最大のターニングポイントとなった合戦の真相と、歴史的意義に迫る!
目次
第1章 家康の自立と武田信玄
第2章 甲三同盟と今川氏滅亡
第3章 家康、信玄の訣別
第4章 開戦
第5章 浜松城と徳川家康
第6章 武田軍の動向と徳川家康の決断
第7章 三方原合戦
第8章 不可解な信玄の動き
著者等紹介
平山優[ヒラヤマユウ]
1964年、東京都生まれ。立教大学大学院文学研究科博士前期課程史学専攻(日本史)修了。専攻は日本中世史。山梨県埋蔵文化財センター文化財主事、山梨県史編さん室主査、山梨大学非常勤講師、山梨県立博物館副主幹を経て、山梨県立中央高等学校教諭(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ようはん
31
三方ヶ原の戦い勃発のキーとなったのは浜松城の西にある浜名湖。浜松城以西の物流は浜名湖による水運の力が大きく、信玄率いる武田軍は水運の要である浜名湖北東岸の堀江城の攻略を目指す事で浜名湖水運を抑え徳川方の補給路を遮断する作戦に出て、それを防がんとする家康の決断が三方ヶ原の戦いに繋がったという話。しかし三方ヶ原合戦後の家康サイドの状況の悪さと絶望感は半端なく信玄の病気による撤退がなければほぼ滅亡は確実だった。この辺りは来年の大河ドラマでどう描かれるか期待したい。2022/12/07
鯖
27
平山先生が中二の時貪り読んだ高柳光壽の「三方原之戦」へのアンチテーゼとして「三方原合戦とは浜松城維持のため、家康が信玄に戦いを挑むことを余儀なくされた合戦ではなかったか」という仮説の下、補給と治水と援軍に着目して書かれた新書。信玄が三河侵攻を止め堀江城を目指したのは浜名湖水運を抑え、浜松城を干上がらせるためというのはなるほどなと。地図も写真も図も多くとても面白い。中学生の平山先生が読んだらめっちゃ喜ぶやつ。きっと今も何処かで学生さんが貪り読んで夢いっぱいになってる。しかし信玄が病死しなかったらつんでたな。2023/01/11
yyrn
26
NHKの『どうする家康』を毎週見ているので関心を持って読んだが、掲載地図は多いのに素人が知りたい情報が抜けている点が多くて残念。(読メの多くは好評価だが)三方原合戦までの武田軍の、風の如く素早く動いた様を詳細に記述していながら、登場する城や合戦場所を示す広域的な地図が一枚もなく、土地勘がないとピンとこない。一方の家康の話でも何度も登場する岡崎城や長篠城さえも地図には出てこないのだから素人にはツライ。困ったものだ。ついでに言えば、無駄な写真が多い。当時の進軍経路や合戦地を現在のスナップ写真で紹介しているが⇒2023/06/11
サケ太
23
非常に良い本。三方原合戦に至るまでの経緯。徳川家康という人物について、その若い頃の苦闘と強かさが面白い。まさか、武田信玄の方が隠忍自重していたとは。家康の挙動により我慢の限界を迎えた信玄の周到な準備。そして、三方原の戦いに。戦国史の転換として三方原の戦いを置いて、その意義を問い直している。2022/12/07
フランソワーズ
21
本書の一番の特徴は、武田軍の攻撃目標が堀江城であること。そして同城を確保することは、浜名湖水運を掌握することであり、徳川を経済封鎖することにつながるという点でしょう。三方原の戦いにおいて、これまであまり顧みられることのなかった記述(堀江城)を起点に、遠江・三河両国の地政や情勢を鑑みて考察した説は、とても興味深く、説得力がありました。2023/08/27