出版社内容情報
2020年から教科化される小学校英語。英語につまずき、苦手意識を覚えた子どもを親はどう支えればよいのか。英語教育の第一人者で
内容説明
2020年、小学校英語が大きく変わる。「教科化」され成績が付くことで、教師の負担も増え、苦手意識を覚える児童の増加も懸念されている。その時、親はどう子どもを支えていけばよいのか―。子どもを取り巻く英語教育の問題点を、言語、英語教育史、発達心理学など様々な視点で考察しながら、未来へつながる英語力を育てるための心得を説く。
目次
序 親の役割
第1章 子どもと言語(母語と外国語―日本語と英語;言語能力向上の基礎)
第2章 英語教育史から探る(英語学習の始まり;近代化に揺れた英語;“敵性語”の時代;“使える言語”を求めて)
第3章 2020年からの小学校英語(学習指導要領が定める英語教育;小学校で使われる英語の教材;発達心理学が教えてくれること)
終章 未来を生きる子どもたちと英語(子どもと英語をどう考えるか;未来へつながる英語力を育むために)
著者等紹介
鳥飼玖美子[トリカイクミコ]
立教大学名誉教授。NHK「世界へ発信 SNS英語術」講師。サウサンプトン大学大学院で博士号(Ph.D.)。専門は英語教育学、異文化コミュニケーション学、通訳翻訳学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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アルカリオン
15
p96「戦時中、英語の使用は禁止された」というのは有名な逸話だが、当時の政府はダブルスタンダードを採用していた。一般国民に対しては米英への敵愾心を煽るために英語使用を禁じたが、その一方で中等教育以上を受けるエリートに対しては広い視野で世界を学ばせる為にきちんとした英語教育を行っていた▼p94 夏目漱石によると、英語力の低下は「日本の教育が正当な順序で発達した結果」であり、当然の帰結である。自国語で高等教育を実施することは独立国としての最低限のプライドであり、「英語の知識位と交換のできる筈のものではない。」2021/07/07
みみずく
14
英語教育史から子育て論までとても興味深く読みました。まずは母語が大事ですね。鳥飼先生が子ども時代に英語の発音を先生に叱られて英語嫌いになりかけた話や、やる気ゼロだったという話には驚きました。子育て中、色々悩み迷う事が多いのですがちょっとしたヒントにもなりました。「自己効力感」「自発性・内発性を大事にする」「子どもが生来持っている力を信じて自ら伸びていくのを見守る」2024/04/12
Nobu A
12
鳥飼玖美子先生著書9冊目。2018年初版。早期英語教育の賛否両論を散々目にし、それを横目に文科省が導入した現在、周りも含む当事者がどう向き合うべきかをずっと考えていた。答えは本著にある。戦時中、政府の敵性語に関するダブル・スタンダード。明治時代にも一度実施された小学校英語教育。ビジネス界が望むグローバル人材養成。国際共通語の変遷。様々な思惑に振り回されず、子供が持つ言語に対する鋭敏な感性を信じ、主体性や自律性を育成する大切さを奨励。私の原動力は米国留学時代の自己効力感。「俺もやれば英語出来るじゃん」って。2022/01/28
アリーマ
9
小学校英語の導入にずっと反対の論陣を張ってきた著者。結局施行導入されてしまった後の現状を踏まえた論。親は子供の英語教育とどう付き合って行くべきかを、非常にわかりやすく説いている。義務教育の英語ばかりが何故か実用実践を期待されてしまう謎のハードルの高さやら、幼児に対する早期英語教育の迷走やら、色々と共感した。日本の英語教育史も概説していて興味深い。ジョン万次郎の英語力に対する評価、というエピソードが特に面白かった。子供のいる人もいない人も、英語教育の在り方に興味を持つ人々に広く読まれてほしい。★★★★★2018/11/08
華形 満
9
どうして子どもにあれこれと教育科目を詰め込むのか?お役所的発想を子供たちに押し付けて貰いたく無い。鳥飼先生ご自身も異論を呈していらっしゃるのが何より真実を物語っている。先ず、どうして英語が必要なのか?きちんとエビデンスとして答えられる親がどの位居るのか?小学生から英語教育を義務化するのが果たして正解なのか?から再考して欲しい。意義を誤ると、英語嫌いの子達を量産する悲劇に繋がりかねないと痛感する。本書は、英語教育の歴史についての解説のボリュームを大きく取っていて、タイトルについてはほんの僅かだった印象。2018/09/26