内容説明
一九世紀フランスでは酷評され、日本やアメリカでは「敬虔で道徳的」と礼賛されたミレー。特に日本では、明治期よりミレーを偉人としてあがめてきたことが、画家の実像を見えにくくした。同時代の画壇を震撼させた革新性、農民画に留まらない画業の多様性、ミレー作品の現代性を明らかにしながら、毀誉褒貶に満ちた「清貧の農民画家」の真の姿に迫る。
目次
第1章 “種をまく人”がまいているのは何か?―ミレーの革新性(ミレーによる「農民画」の改革;“種をまく人”の衝撃;二つの“種をまく人”の謎)
第2章 ミレーの生涯と画業の変遷―ミレーの多様性(グレヴィルの日々―ミレーの原風景;シェルブール、パリ―苦難の日々と肖像画家としての研鑽;二月革命でつかんだチャンス―歴史画から農民画へ;バルビゾン前期―農民画代表作の誕生;バルビゾン後期―風景画の新境地と名声;晩年―最後の「四季」から印象主義の先駆へ)
第3章 ミレーは本当に清貧か?―ミレー神話の形成過程(ミレー・ブームを作ったアメリカ;サンスィエの「ミレー伝」、神話と真実;日本におけるミレー神話)
第4章 さまよえる魂の画家―ミレーの現代性(「現代画家」としてのミレーの素顔;人間の疎外とミレーの世界性)
著者等紹介
井出洋一郎[イデヨウイチロウ]
1949年、群馬県生まれ。府中市美術館館長。上智大学外国語学部非常勤講師。早稲田大学大学院文学研究科博士課程満期退学(西洋美術史専攻)。1978年から1987年まで山梨県立美術館に勤務し、初代「ミレー番」学芸員を務める。明星大学助教授、東京純心女子大学教授を経て現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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Francis
どら猫さとっち
Mana
そらのひつじ