NHK出版新書
エネルギー論争の盲点―天然ガスと分散化が日本を救う

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  • サイズ B40判/ページ数 217p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784140883563
  • NDC分類 501.6
  • Cコード C0254

内容説明

3・11後、にわかに高まる原発廃絶の声。しかし、コストが高く安定性の低い再生可能エネルギーで原発を無理に代替すれば、日本経済の崩壊は免れない―。エネルギーの安定供給とCO2削減を両立するカギは、天然ガスと分散型のスマートエネルギーネットワーク。巷に溢れるエネルギー論争の陥穽を検証し、歴史とデータから問題の本質を説き起こす、本物のプロによる啓発の書。

目次

第1章 エネルギー問題がなぜ重要なのか―人類の命と文明を支えるカギ(エネルギーとは何か;エネルギーは人命を守る;エネルギーがつくった文明史)
第2章 技術革新の陰に化石燃料あり―エネルギーは「量」より「質」で考える(化石燃料はなぜ近代化を促したのか;石油はなぜチャンピオンになったのか;エントロピーから考えるエネルギーと文明の関係)
第3章 虚飾にまみれたエネルギー論争―原発vs再生可能エネルギー対立の不毛(エネルギー論争のウソ;コストで比較する原子力と再生可能エネルギー;二元論者の奇妙な相似)
第4章 知られざる天然ガスの実力―世界的「ガス革命」に乗り遅れるな(「天然ガス後進国」ニッポン;葬られたガス・パイプライン計画;国際的にすすむ天然ガス革命)
第5章 二一世紀型の省エネとエネルギー安全保障―資源、地域の分散化がカギ(省エネの盲点;コジェネレーションの可能性;原子力代替は天然ガス+再生可能エネルギーで;エネルギーの安全保障)

著者等紹介

石井彰[イシイアキラ]
1950年東京都生まれ。エネルギー・アナリスト。エネルギー・環境問題研究所代表(石油天然ガス・金属鉱物資源機構特別顧問、早稲田大学非常勤講師・招聘研究員)。上智大学卒業後、日本経済新聞社記者を経て、石油公団で資源開発に携わる。1980年代末からは石油・天然ガスの国際動向調査分析に従事。ハーバード大学国際問題研究所客員、パリ事務所長などを歴任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Miyoshi Hirotaka

38
食料自給率200%の北海道のスーパーにもノルウェーの鮭、九州のジャガイモが並ぶ。エネルギー問題もこれと似ている。電力消費されるエネルギーは3割未満。つまり、電気のエネルギー源だけを論じることは問題の矮小化。技術問題が楽観視され、再生可能エネルギーだけが解決策と吹聴されたり、反原発や環境保護の不毛なイデオロギー論争が生じるのはこのため。人類史を顧みればエネルギー増産は文明の宿命。その安全保障には、輸入先の分散、地域分散型の供給体制へのシフト、エネルギー源の分散化と最適化という幾重ものリスクヘッジが必要。2014/05/14

中年サラリーマン

23
石油依存は政治リスク大。原発は安全性とコスト間のコストパフォーマンスが悪い。環境エネルギーは現代の都市機能の安定した運営の面で落第。よってエネルギーの分散化は最も現実性のある天然ガスへシフトすることで実現すべきという本。ただの主義主張、技術論だけではなく幅広い観点からそもそもエネルギーとはなんなのかという根本から論じているのが面白い本。省エネすれば太陽エネルギーでなんとかなるんじゃと思っている人はエネルギーというのは今そんなに狭い範囲をカバーしているものじゃないことを本書で知るのもよいかも。2014/04/28

佐島楓

19
そもそもエネルギーとは何かという視点から考えることができたのは良かった。結局どの発電方式もコストや環境面において一長一短だから、上手く組み合わせて利用していくしかないようだ。日本人の宿命として感情論になりがちだが、そうではなく物事の本質を見た冷静な議論をしなければならない。その材料になる本だと思う。2011/08/31

ANUNYAPHUM

10
エネルギーに関して、そもそもエネルギーとは何か、そして歴史をさかのぼり、私達が勝手に思い込んでいる、若しくは思い込まされている盲点を徐々についていく。 特に原子力と太陽光等の再生エネルギーに関すしてメスを入れるのだがよく分った。 またエントロピーという視点でとらえるエネルギー論が、人、文明にまで広がっていき著者独特でした。 最後にはきちんと著者の考える未来のエネルギーの姿が解決策として示されている。 この1冊で相当な事がわかるので、基礎をつかむなら是非!2013/11/19

lime@灯れ松明の火

9
明快な論旨で非常に分かりやすい。原子力VS.再生可能エネルギーという二極化した不毛なエネルギー論争がまかりとおっている現状を時に厳しく批判しつつ、大事なのは分散化と説く。特に天然ガスそしてコンバインドサイクルの実力はやはりすごいんだということが再確認できた。現実的でない論争から抜け出し、著者の言う通り最適なエネルギー選択のポートフォリオを組むべき。また東電に何兆円も税金をつぎ込むというばかげた政策が実行されるなら政治家と官僚は全員この本を読んでもらわないと。色んな人に読んでもらいたい良書である。2011/12/11

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