内容説明
脳の疾患やこころの問題を、ゲノムから解明しようとするゲノム脳科学。その急速な進展により、性格や知能と遺伝子の関係が続々と明らかになりつつある。個人の遺伝情報を治療に役立て、相性をゲノムで占う社会はすぐそこまで来ている。斯界のトップランナーが、国内外の最新研究成果を踏まえ、パーソナルゲノム時代の可能性を展望する。
目次
第1章 こころはどこにある?
第2章 遺伝子ターゲティングが拓いたこころの研究
第3章 こころの病に挑む
第4章 パーソナルゲノム時代の到来
第5章 ゲノムで性格や相性がわかるのか
第6章 ゲノム脳科学と近未来
著者等紹介
宮川剛[ミヤカワツヨシ]
1970年東京都生まれ。藤田保健衛生大学総合医科学研究所教授。生理学研究所行動・代謝分子解析センター客員教授。日本神経科学学会理事。東京大学で心理学博士を取得。理化学研究所脳科学総合研究センターに在籍後渡米、国立精神衛生研究所研究員、マサチューセッツ工科大学(MIT)ピコワー学習記憶研究センター主任研究員を歴任。帰国後は京都大学医学研究科助教授を経て現職。専門は遺伝子改変マウスを用いた行動神経科学の研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Aya Murakami
83
図書館本。新書特集棚において。 遺伝50パーセント環境50パーセントというところか…?しかし本書を読んでいると遺伝子の影響が予想以上に強いということが感じ取れる。統合失調症が遺伝性の強い精神病でさらにアル中・兄弟殺しにかかわっていたり…。実験はマウスを使っていましたが、人間の場合だと統合失調症の親の不適切育児でさらに事態が悪化するのだろうなぁ。遺伝プラス環境のダブルパンチである。2023/04/02
inami
17
◉読書 ★3.5 自分の中の「超知りたい!3大テーマ」のひとつが「こころ」(AIは感情を持ち合わせるか?)なので読んでみた。本書でAIは登場しないが・・さて、自分とは何か?、こころとは何か?誰しも疑問に思ったことがあるだろう。ゲノム(30億の塩基配列、遺伝情報の総体)脳科学者が、脳(遺伝子の80%は脳で発現)の活動に影響を与える遺伝子「病気、個性や性格、知的能力・・」について、さまざまな研究成果を述べている。そうそう、皆さんの大好きなABO式血液型と性格の関係について、科学的根拠はほとんどないそうです 笑2019/01/25
退院した雨巫女。
17
《私‐図書館》ちょっとハードル高かったなあ。面白いところもあったけど。まだまだ勉強だ。2011/09/04
Kentaro
7
遺伝子の配列情報により、統合失調症を引き起こす遺伝子を見つけたり、神経伝達物質の受容体を解析することで、人とすぐ争い事をしてしまうとか、マウスの実験では一見仲良く見えるのに同じ場所で生活させると必ず些細なことがきっかけで争いを起こし、相手を殺してしまうと言ったゲノム解析も既に解明されているという。ヒトラーはユダヤのホロコーストで、優秀な人種のみ残すという選別を行い、大殺戮に及んでしまったが、現代の医学では受精前の胚の状態で危険遺伝子を除去することで、特定の人種の産み分けが出来るレベルに近づいているという。2018/06/12
K K
7
興味深い。マウスの研究は難しかったですが、遺伝子について、なかなか驚きでした。 ゲノムが持ち運べる時代、ポケッタブルになる、いいのか、悪いのか。 結婚相談所がゲノムを使うという未来はちょっとは嫌ですね。 ただ、違う方が引かれるというのはよくわかる。一目ぼれは本能が反応しているから生物として正しい三択をしているのでは?あまり好きでない人と結婚する日本人女性はあまりいい遺伝子を残せないんじゃ?と思ってしまう。 ゲノム占い、ゲノムカウンセラー、悪徳ゲノムビジネス どんな未来なのか、怖いけど覗いてみたい。2017/05/12