内容説明
第二次世界大戦の敗戦が日本に課した大きな宿題の一つが、英国軍元捕虜への謝罪問題。謝ってもらっていないと感じる英国と、謝ったと思っている日本。両国の認識のズレを明らかにし、日英和解という美名のもとで無視される元捕虜たちの思いに向き合い、中国や韓国も視野に入れた、真の戦後和解への道を探る。
目次
序章 英国の「戦争の記憶」
第1章 捕虜問題の基礎知識
第2章 「謝罪」と「お詫び」
第3章 「民間和解外交」の功罪
第4章 日の丸を焼いたジャック・カプラン
第5章 日本が謝れない四つの理由
著者等紹介
中尾知代[ナカオトモヨ]
1960年生。東京大学大学院人文科学研究科修了。現在、岡山大学大学院准教授。専門はメディア表象論、社会文化学、オーラル・ヒストリー。エセックス大学博士課程在籍、元オックスフォード大学客員研究員、国際オーラル・ヒストリー学会広域アジア地域評議員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ののまる
10
いい本だったなあ。日本軍イギリス元捕虜へのインタビューと、なぜ日本の「お詫び」が受け入れられないのか。個人的には,日本では民間の和解成功例として捉えられている(美化されている)恵子ホームズの、狂信的なキリスト教全面の和解の実態が衝撃だった。2024/07/15
takao
3
ふむ2024/06/23
Reina SAIJO
0
素人の印象にすぎないが、歴史研究の難しさには、個人の経験に着目した記述と、ある程度まとまりのある社会の動向として着目した記述を、たがいにどのように整合させるかという点があるように思う。本書の主題は英国人捕虜へ日本による不当な扱いと、それに起因する日英関係のすれ違いである。オーラルヒストリーという手法は、文献ではなく当事者の発言を史料とみなす歴史研究の方法のようだ。このおかげもあってか、国家間の摩擦と個人に宿る微妙なわだかまりが非常に生々しく感じられた。巻末資料には日本の要人が実際に作成した謝罪文がある。2014/02/19