生活人新書
安心して絶望できる人生

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  • サイズ 新書判/ページ数 246p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784140881996
  • NDC分類 369.28
  • Cコード C0236

内容説明

北海道にある浦河べてるの家。統合失調症などを抱える人たちが暮らす共同体だ。最近べてるの家では、自分の病気を自分で研究する「当事者研究」が盛ん。「幻聴さん」と一緒に暮らし思いが極まれば「爆発」する。そんな自分を「研究」してみると、いつもの苦労や絶望のお蔭で、何だか自分の助け方がわかるように思えるから不思議だね。弱いから虚しいから、絶望の裏返しの希望を見晴かせる。逆転の人生哲学の「爆発」だ。

目次

第1部 自分自身で、共に―弱さを絆に、苦労を取り戻す(「当事者研究」までのプロローグ;べてるの家の「当事者研究」)
第2部 「弱さの情報公開」をはじめよう―「当事者研究」の実際(「べてるウイルス感染症候群の研究」;「“劇場型”統合失調症の研究」;「“人格障害”の研究その一」;「“人格障害”の研究その二 見捨てられ不安の研究」;「人間アレルギー症候群の研究」;「“サトラレ”の研究」;「起業の研究」;「救急車の乗り方の研究」;「どうにも止まらない涙の研究」)
第3部 苦労や悩みが人をつなげる―座談会「私たちにとっての当事者研究」

著者等紹介

向谷地生良[ムカイヤチイクヨシ]
ソーシャルワーカー。北海道医療大学看護福祉学部臨床福祉学科教授。1984年に有志と共に浦河べてるの家を設立。以来、精神障害を抱えた人たちと会社や共同住居などをつくり、「弱さを絆に」「精神病で街おこし」を続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

みゃーこ

51
人には言えない自分だけの中で風通しが悪い状態で閉じこもっていた悲しいエピソードは当事者研究と言う形で昇華され皆に共有されたときに文化となって花開く。後半がすごく読んでいておもしろかった。実は人格障害も精神障害も普通と変の間の地続きのところにあるんじゃないだろうか、社会は個人の体験を内包しながら回っている。2016/10/16

おたま

38
べてるの家で行われている「当事者研究」を中心にまとめられた本。べてるの家では独特の語法を使って、精神障がい者の方たちが、当事者として様々な実践に取り組んでいる。「自分でつけよう自分の病気」「弱さを絆に」「弱さの情報公開」「昇る人生から降りる人生」「自分自身で、共に」等々。それらは、私たちの生活を根底から覆す力をもっている。その理念を結晶化させて、当事者が自分の精神障がいに対して客観的な視線で取り組んでいくのが「当事者研究」と呼ばれている。これが現在、精神医療の現場に、そして健常者に衝撃を与えている。2023/03/21

磁石

28
絶望には価値がある。「諦める」とは、明らかに認めること……。いわゆる精神障害者たちのケアに成功した施設。助ける/Forではなく、寄り添う/With。彼らは救うべき哀れな人々ではなく、絶望のエキスパートだった、いわゆる専門家は実体験分遅れてる。全国の哲学者あるいは哲学を志す人々は、ここに来て絶望を分けてもらった方がいいかも。2018/05/23

zag2

22
「べてる」の3冊目。三部構成で第一部では「べてるの家」設立者の一人であるソーシャルワーカーの向谷地さんが、まとまった文章を書いています。これまで読んだ2冊をふまえて読むと、全体が整理されてとても分かりやすい。この順番で読んで良かったと思います。精神障害を持つ本人が自分のことを研究することで、病気が治るわけではないのだけれど、なんだか生きやすくなる。この「治るわけではないけれど」というところが肝心ではないかと思います。人生の様々な悩みとも、そんなふうに付き合っていくのがよさそうだと、感じました。2021/04/20

ゆう。

22
精神病を抱えた当事者による当事者研究とは何かの「べてるの家」の実践が述べられた本です。この実践は、人と人をつなぐ実践でもあり、著書の中では「弱さ」という情報は人をつなぎ、助け合いの場をもたらすと述べられています。また、精神病を抱えた人たちは、自分を知ることに困難を伴います。当事者研究とは、そうした自分とは何なのかを研究の視点で分析し、認知しようとするものではないかと思いました。また、当事者研究は自己決定を押し付け、自己責任化することとは違うということもなるほどと思いました。とても面白い本です。2014/09/02

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