内容説明
子供のころ、絵はだれもが楽しめるものだった。自由な発想、自由な想像力で純真な絵を描いていた。しかし大人になって「うまさ」を意識しはじめたとたん、自由な想像力は失われ、絵は魅力をうしなった。子供のころの「絵心」を失わせたものとは何か。美術教育に内在する問題とは何か。内外のナイーブ・アートを例示しながら絵心の復権を提唱する。
目次
第1章 子供の絵の魅力(なぜ児童画は残っていないのか;児童画という夢の領域;有害な美術教育 ほか)
第2章 だれでも描ける「自由デッサン塾」(だれでも描ける「自由デッサン塾」;絵は描けなくても線なら引ける;額縁に入れると楽しくなる ほか)
第3章 心にしみる絵画とは(ナイーブ・アートとフォーク・アート;アメリカ人の心の故郷を描く―グランドマア・モーゼス;グルジアの放浪画家―ニコ・ピロスマニ ほか)
著者等紹介
谷川晃一[タニカワコウイチ]
画家、美術評論家。1938年東京都生まれ。絵画は独学。70年代より絵画制作と並行して美術批評活動を開始。88年に伊豆高原に転居、自然をモチーフにした絵画制作を精力的に行っている。2000年に『ウラパン・オコサ』で日本絵本賞を受賞
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感想・レビュー
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やいっち
68
本書は絵を描くこと、まずはペンでも筆でも木炭でも、手に取り、新聞チラシの裏面に、去年の日記の余白(埋めきれなかった白いままの頁)に、最初は、三角やら四角やら○など、これなら誰でも描けるという記号っぽいもので見たもの感じたものを描いていくことからだと、著者は勧めているだけに、尚更、読むより、まずは実行を、となる。 NHKの「生活ほっとモーニング」でも紹介されたことがあるので、本書を(著者を)知ってる、という方も多いだろう。2005/08/25
ムフィー
10
この本は、絵を描くとは自分にとってどういうことなのか、を深く考える非常に意味のある一冊となった。 谷川晃一さんの画風がとても好きなので、絵画における新書を書いておられると知り、飛びついて読んだのだけれど、これは本当に読めて良かった。この本に出会えて良かった。アンリ・ルソー、グランドアマ・モーゼス、田島征三、ビル・トレイラー、好きな画家さんが沢山出てきて興奮しながら読んだ。心に染みる絵画とは、子供の絵の魅力とは、絵を描く喜びとは、今後もこれらについて、自分も問いただしながら、絵を描いていきたい。2017/11/02
袖崎いたる
6
絵へのハードルを下げる話。ビル・トレイラーっていう黒人アーティストを知れたのは収穫。解放奴隷で85歳から絵を描きはじめたんだとか。その人の画集を眺めながらの執筆だったらしい。ボキャブラリーならぬ「画彙」なんて言い方も練っていたりと、ユニークなお人。2020/10/04
ゆき
4
知らない画家ばかりだったので、読んでいてとても面白かったです。上手に描くのも、下手に描くのも絵だというのはいいですねこの本に紹介された画家はきっと知名度の高くない方達が多いと思いますが、絵の素晴らしさは伝わってきました。絵は上手じゃなくてもいい、なんだか方の荷がおりた気がしました。2016/03/24
岩井 靖
2
絵は誰にも描ける。 まったく同感です。自分で絵ごころがないと思っている人は対象物を似せて描くことができないと思っているようです。 別に絵はその実物通り描く必要はないし、モデルなどなくてもいいのです。 私も絵は誰でも描けるということをブログなどで示していけたらいいなと思っております。 みんなもっと絵を描こうよ!2012/04/14