内容説明
欠乏を生きた大人たちの適応スタイル、生き方や価値観が今、子どもたちを苦しめている。豊かさが生み出す多量の商品や情報や教育のなかで、心の力と感性を求めて苦闘する子ども・若者たち。彼らが、学生相談カウンセラーに伝えたメッセージ。
目次
1章 豊かさを生きる力とは
2章 「良い子」から「自らを恃む子」に
3章 教育が足りないのか、過剰なのか
4章 カウンセラーから見た「学校の七不思議」
5章 「ひきこもり」は哲学である
6章 「子どもという自然」とつきあう
7章 不要な「生き方」をいかに捨てるか
著者等紹介
小柳晴生[オヤナギハルオ]
香川大学教育学部教授・保健管理センター所長。臨床心理士。1950年、石川県生まれ。学生相談カウンセラーとして22年、学生や子どもの心の声に耳を傾けてきた。言葉に込められた意味を読み解き、社会に伝えてゆくこともカウンセラーの仕事の一つと位置づけ活動している
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感想・レビュー
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愛奈 穂佳(あいだ ほのか)
2
【ココロの琴線に触れたコトバ】豊かな時代を生きていくには、気がかりは気がかりとして心に置いたまま、少し横に動かして心にスペースをつくり、他のことに手をつけたり生活を楽しむ力が必要になってくるのです。(略)さまざまな考え方や生き方が共存することが豊かさであり、外向性がもらたらすあいまいさは創造の源でもあるのです。2015/10/26
三浦郁子
1
現代の子どもたちは人づきあいが下手になったと言われるが、本当にそうなのだろうか?と作者は問う。 昔と比べて急速に人間関係が変わっているのに、それに対処する方法や知恵が追い付いていない現実。旧態依然とした学校の在り方などに戸惑いや拒絶感を持つ子どもが居たとしても当然である、と。不登校になる子どもは、昼夜逆転の生活を送り、家でゲームをしたり、一見すると不健康な生活を送っているが、これまで十分にとれなかった自分と向き合う時間を確保して心のバランスを回復しているのだから、健康な営みと考えられるという説には賛成。2019/06/27
yugosa
1
現代人を「欠乏を生きた世代」と「豊かさを生きる世代」とに分け、それらの人間が持つ価値観の違いが「豊かさを生きる世代」つまり若人にどう作用しているのか、溢れんばかりのものに囲まれた中で取捨選択に苛まれる若人に対して「欠乏を生きた世代」はどう接すればよいのかを説く本。壮年の方には善悪など価値観の白黒がはっきりしているが、若人の価値観の曖昧さは、壮年のそれとは全く異質であることを辛抱強く述べている。2011/04/03
青
0
昔は欠乏した生活を送っていたが、現在は暮らしが豊かになり、情報も以前より大分増えた。欠乏した生活をやりくりする力より、有り余った情報や人間関係などをこなしていく力を養うべきだ、というこのテーマを何回も何回も何回も書いてる。2015/08/27
Takuya Yamamuro
0
「ひきこもり」という状態を考察することにより、社会の変化を見出した良書。著者によると 今は「豊か」な時代、「貧しい」時代の勝ちパターンを教える学校とのギャップに悩み人間活動を停止し葛藤している状態が、引きこもり という。その「豊か」な時代を生きるには 自分にとって何が大切かをはっきりさせ、それ以外はこだわらない生き方を確立していく必要がある。2013/02/21
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