内容説明
内外騒然とした晩唐の時代に、若くしてエリート官僚の道を歩む一方、先輩杜甫の詩風を慕い、しなやかな感性で江南地方の美しい自然、町の華やぎ、酒、遊びを詩に作りつづけた杜牧。その特異な洒脱の才は「江南の春」などの懐古の詩に華さく。「風流才子」と呼ばれ、晩唐第一の名をほしいままにした生涯を、代表的な作品一〇〇首とともに味わう。
目次
序章 杜牧の詩風
第１章 風流才子
第２章 官遊望郷
第３章 詩論と折々のうた
第４章 懐古の情
第５章 人生の哀歓
著者等紹介
石川忠久［イシカワタダヒサ］
１９３２年、東京に生まれる。東京大学文学部中国文学科卒業、同大学院修了。桜美林大学教授、二松学舎大学教授をへて、現在二松学舎大学学長。桜美林大学名誉教授。全国漢文教育学会会長、（財）斯文会理事長、漢字文化振興会専務理事、国際儒学連合会副会長、六朝学術学会会長、全日本漢詩連盟会長。文学博士。１９８５年よりＮＨＫラジオ「漢詩をよむ」（現在は「漢詩への誘い」）講師
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鴨の入れ首
2
2004年刊。図書館本。中国唐代（晩唐）第一の詩人といわれる杜牧の詩100編を抜粋した漢詩解説書でした。風流の人だと思っていた杜牧ですが、人生の哀歓を歌い、風刺もあり、いろいろな味があってそれはそれで奥深いものを感じました。李杜韓白だけでなく、唐詩人にはこういう人もいるんだと現代人が知れば、漢詩の世界はきっとより楽しくなりそうだと思います。2024/11/20
内藤銀ねず
2
NHK出版から出ている『漢詩を読む』シリーズは、例えば岩波文庫版の同様な漢詩集に比べて作品数は少ないけど、作者の人となりにたくさん触れられていて充実感があります。 杜牧は七言絶句の名手で、漢詩人には珍しく色っぽい詩があったり、若い頃のやんちゃを詩にしてたり、とても人間くさいです。 前に感想を書いた永井荷風『下谷叢話』でも、杜牧の詩によく似た枕山の詩が引用されてたりと、かつての日本では大変好まれた詩人の一人だったみたい。 今では入手困難な本ですが、古書店で見つけたらぜひお求めください。
-
- 電子書籍
- 詰みかけ転生領主の改革 4 MFブックス
