内容説明
漢方薬は三千年におよぶ歳月の中で生み出され熟成されてきた文化遺産。そこには、幾世代にもわたり経験を積み重ね、知識を伝え、書物を編んできた先達の労苦がある。そして今、近代科学の力により有効成分が解明され、その神秘の薬効が証明されつつある。生薬をめぐる過去と現在、また未来を、長年の伝統薬物研究の成果をもとに解説する。
目次
「気」を食べる春の七草
中国医学と漢方医学
人参―漢方薬の王者
甘草・柴胡―肝機能を正常化する漢方薬
四物湯―婦人病の聖薬
附子・大黄―名医が使いこなす漢方薬
麻黄・ロート根―近代薬になった漢方薬
黄連・黄柏・延胡索―胃腸の機能を調える漢方薬
牛黄・竜骨―文化史の中の動・鉱物薬
身近な薬用植物(オトギリソウとゲンノショウコ;センブリと桜皮)
薬草・秋の七草
毒から薬への道―矢毒の文化誌
薬食同源の食文化―薬膳と未病医学