内容説明
日本仏教と文化に大きな影響を与え、鎌倉新仏教の台頭を促した『往生要集』とは。華麗なまでに描写された地獄の様相、浄土への往生を求める人びとのすがた、臨終の行儀、念仏往生の心得など、時代が求めたその思想を探り、現代的意義を明らかにする。
目次
第1章 愚かなる者
第2章 厭離穢土
第3章 地獄のすがた
第4章 地獄は存在する
第5章 修羅と餓鬼
第6章 人間とは
第7章 欣求浄土
第8章 願いをもつ
第9章 懴悔
第10章 平生の念仏
第11章 臨終の行儀
第12章 念仏往生
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
肉尊
11
往生要集といえば、目を覆わずにはいられない地獄の叙述が特徴的だ。いっそのこと地獄について知らない方が幸せに暮らせるのでは?と思ったのだが、そうではないらしい。嘘をつかない、姦淫をしないなどの戒律を破るか守るかの一線はどこにあるか。現代ならメディアに晒されたり、刑務所に入れられるのは嫌だという想像が理性的に判断できる指針となっているのだろう。しかしそのような認識がない時代は、小さな悪事が業となり積み重なるのを食い止めるには、地獄の概念が必要なのである。やましい行いをしていなければ夢に地獄が現れることもない。2021/02/11
れどれ
2
源信さんの著した「往生要集」の解説書。よくもまぁこれだけグロテスクに仕上がらせてくれたものよと感心したくなるほど地獄の描写は執拗でおぞましい。浄土についての記述もあり、そして現世の生き方にも繋いでいく…のに加え、現代の高齢化社会においていかに老人たちに死に際を迎えさせるか、さらにはこちらがいかに看取るか、といった発案まで往生を軸に説いていて、見識が広まるとともに深まる。2021/03/09
-
- 電子書籍
- 宝くじに当たってセレブな街で契約結婚し…