内容説明
冬の寒夜は、友をかたらい、燗酒を酌んでは消寒の集い。歳末の風は冷えびえと、来し方、行く末に思いをはせて感慨にふける。明ければ新春、わび住まいにも歳はめぐり来て、気分は華やぐ。他に先がけて咲く梅に、詩人は、ひそやかな春の歩みを感じとる。立春に東風ふきそめ、恵みの雨を得て、虫は冬の眠りから覚める。人もまた、明るい日ざしに誘われて、早春の野へと歩をはこぶ。寒気の中に春をさぐる名詩100首。
目次
邯鄲にて冬至の夜に家を思う(白居易)
西門外に宿す(晁端友)
魯山の山行(梅堯臣)
子の責む(陶潜)
白伝が洛中老病後の詩を読みて戯れに書す(范成大)
酔うて帰る(菅茶山)
冬夜読書(菅茶山)
冬夜(江馬細香)
歳暮南山に帰る(孟浩然)〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新地学@児童書病発動中
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こういう本を読むと漢詩は良いなあとしみじみ思える。たった1つの詩を読むだけで、いろいろな映像が頭の中に広がり、そのイメージに包み込まれて日常とは別の世界でほっと一息つける。漢字自体が映像を喚起する力が強い文字なのだろう。それを味わえるのは日本人の特権の一つだ。この本の中には日本人が作った漢詩も収録されており、中国人の詩よりしっとりした味わいを感じた。梅のことを詠んだ詩群が絶唱と呼べる名品ばかり。「暗香」というほのかに香る梅の香を表現する言葉が美しい。2016/01/12