出版社内容情報
日本を敗北に追い込んだのは、誰だ
連戦連勝を続ける日本が大敗北を喫し、2万人が落命したガダルカナル島。本書はNHKスペシャル「激闘ガダルカナル 悲劇の指揮官」の取材班が書き下ろすノンフィクション。新発見の米海兵隊の「戦闘ログ」や日本軍参謀たちの「日記」を通して、最前線の苦難の原点を探り、日本軍にはびこっていた組織の欠陥をあぶり出す。希望的観測で敵兵力を見誤り無謀な計画を立てた作戦参謀、あやまちを認めず反省を拒んだ陸海軍のトップ、責任逃れの隠蔽工作や国民を欺く情報操作に手を染めた大本営。島で全滅した一木支隊の指揮官一木清直大佐もまた組織の軋轢という悲劇に飲み込まれていたのだ。戦後75年の今、「地獄の島」の実相が解き明かされる。
内容説明
彼らはなぜ、全滅に追い込まれたのか。米海兵隊の戦闘記録、日本軍将校の日記。新史料から初めて明らかになる戦場の全貌、組織の病理。
目次
第1章 発見された戦闘記録
第2章 陸海軍協同作戦
第3章 暗闇の死闘
第4章 陸軍精鋭部隊投入
第5章 一木支隊全滅
第6章 川口支隊の戦略
第7章 辻政信と山本五十六
第8章 終わらない陸海軍の対立
第9章 地獄の島
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
金吾
33
○戦術的に駄目で一方的な戦闘というイメージがありますが、アメリカ側の資料によりそうでない時期もあったということ、及び川口少将や一木大佐の処置の理由・妥当性が印象に残りました。また海軍の身勝手さや高級士官や大本営参謀の無責任さ、セクショナリズムの罪を再確認しました。2022/11/22
MJ
30
アメリカ側の資料を掘り起こし、歴史を再検証した良本。新たな発見はガダルカナル戦は一方的な負け戦ではなかったということ、変わらぬ事実は軍部の上層部のセクショナリズムと保身体質だ。興奮の前半、溜息しか出ない後半。2021/10/29
detu
25
図書館新刊棚より。見つけた瞬間取っていた。無謀な死闘を繰り広げた戦いと聞いていたがこの取材によると当初勝ち目が無かった訳でも無いようだ。何故凄惨な戦場となったのか。戦争指導部大本営。その内情は陸軍海軍の反目する伏魔殿そのもの。互いの面子ばかりで一貫しない作戦。責任の擦り合い。読んでいると最早、喜劇ですらある。こんな指導者たちに最前線は翻弄され命を差し出すのだ。ガダルカナル、その後インパール。敵弾に撃たれるならまだしも、飢餓と疫病の地獄。戦後上級士官たちは生き残り一切口をつぐむか新たな権力に貪りつく者。 2020/10/22
パンダ女
14
ガダルカナル島に上陸した3万1400名の兵士のうち6000名が戦死、1万5000名が病気や飢餓により亡くなった。敗戦の端緒となったガダルカナル島の戦い。戦場の兵士たちのメモには歓喜や絶望が記されていた。最前線で戦った兵士たちは大本営によって英雄にされたり世間に悪者にされたり、プロパガンダに使われた。情報伝達さえうまくいっておらず戦意高揚のために嘘の情報も流された。海軍と陸軍の軋轢というしょーもない理由で作戦はうまくいかず多くの命が奪われた。囮として死んでゆく者も。人の命が嘘みたいに軽んじられていた。
maimai
13
日米の分水嶺と言われたガダルカナル島の戦い。指揮官の油断が原因となり日本空軍が大きな打撃を受けたと言われていますが、慢心や傲りは戦う上で大敵なのではないかと考えました。日本軍は戦う人は優秀と言われていますが、満員電車に乗り残業をいとわないサラリーマンの姿はこの時代から重なっているのかも。ガダルカナル島は二次世界大戦で米国と日本の気質の違いを表していると言われていますが、人を大切にする米国、権力や権威を大切にする日本の縮図を表しているのではないでしょうか。これからの企業体系も変化していくのかな〜2020/08/31
-
- 電子書籍
- はにかみトライアングル(3) 電撃文庫