闇に魅入られた科学者たち―人体実験は何を生んだのか

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  • サイズ B6判/ページ数 235p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784140817353
  • NDC分類 490.75
  • Cコード C0040

内容説明

科学的好奇心が暴走するとき、理性は崩壊する。切り刻み、投薬し、極限状況まで追い込む―。NHK「フランケンシュタインの誘惑」待望の出版化!

目次

第1章 切り裂きハンター―死のコレクション(本当は怖い「ドリトル先生」;動物や虫の生態に居場所を見つけた少年 ほか)
第2章 “いのち”の優劣―ナチス 知られざる科学者(ホロコーストの道具となった“科学”;敗戦下のドイツと優生学 ほか)
第3章 脳を切る―悪魔の手術ロボトミー(アメリカ初の「精神外科」手術;祖父への憧れから精神医学の道へ ほか)
第4章 汚れた金メダル―国家ドーピング計画(国家ドーピング計画を首謀した男;ベルリンオリンピック後の激動のなかで ほか)
第5章 人が悪魔に変わる時―史上最悪の心理学実験(事の発端―ある仮説の誕生;スラム育ちの心理学者 ほか)

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kinkin

87
NHK-BS1で放送された「フランケンシュタインの誘惑」制作班による本。5章からなり、イギリスの解剖医ジョン・ハンターからナチスの医師。ロボトミー手術を考案した医師、国家的ドーピング、史上最悪の心理学実験からなる。特に気になったのはロボトミー実験。映画『カッコーの巣の上で』で主人公が病院に反抗的な態度をやめないために施術されたもの。彼はすっかり廃人になるまでが描かれていて印象的だった。後半に書かてていた化学者の言葉「科学は平和なときには人類へ貢献するが戦時には国家へ貢献する」という言葉が印象に残った。2019/06/09

Willie the Wildcat

68
境界の客観性。倫理観が原則も、時にタブーや戒律を破ることで見出す解。好奇心は、倫理観次第。欲と政治が、禁断の木の実。前者はフリーマン氏とジンバルドー氏、後者はヒョップナー氏とフェアシュアー。歯止めが効かない閉鎖性が、状況を拍車。加えて、日本を含めた先進国も追随する歴史が、如何に現代に活かされているのかが気になるところ。ハンター氏の事例が、科学者の好奇心と探求心が齎す功罪を描写。個人、組織、そして社会に根付く倫理観の醸成が前提条件という感。2018/05/18

キムチ

64
日頃思っているが、口に出し辛い事がてんこ盛り。溜飲が下がった読書になった。わずか300年前の科学といえば、古代と変わらないほどのレベル。この番組、知らなかった(TVをあまり見ないから)むさぼるように一気読み。「ドリトル先生」のモデルにもなった彼・ナチスの庇護を受けた犯罪科学者・ロボトミーという精神医学の悪魔・国家的レベルのオリンピック犯罪・人が悪魔に代わる心理学実験・・戦慄を覚えるなんて陳腐な言葉を超えていた。おぞましいのはそういった彼らの一部がフツーに権力の擁護のもとに自己満足のもとに生を永らえた事実。2018/05/07

眠る山猫屋

59
まさに〝フランケンシュタインの誘惑〟。知的好奇心や国家への貢献心から始まる暴走。善意に基づく残酷。スタンフォード監獄実験が教えてくれる、状況に左右されてしまう社会的な生き物としての人間の弱さが本書の全てを物語るのではないか。そして己れの行為の非道さ高慢さ破廉恥さを認めない(認められない?)フランケンシュタインの末裔たち。ドーピングや遺伝優生学、ロボトミー、心理実験を行った科学者たちが遺した傷痕は、現代にも(比較的水面下で)継承され利用されているという矛盾。本書での、人間の醜さへの指摘は厳しいものだった。2020/05/20

ひらちゃん

58
その時々で、今では闇と呼ばれる人体実験も正当化されていた。魅入られた科学者たちがいて、今日の医学があるということ。だからといって正しいとは思えないのだけれど…。矛盾してますね。時代が造ってしまった彼らは途方もない興味に駆られて突き進んでいく。だからこそ自分は正しかったと言いきってしまうのだろう。闇は闇だけど誰も教えてくれない闇を放っておいて言い訳はない。知る必要もある。2018/04/28

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