出版社内容情報
なぜ、日本に帰化して小泉八雲となったのか。『怪談』と並び称される代表作『日本の面影』に、彼が深い愛情をもって描いた明治の日本の姿を通して、近代日本の歩みの意味を考える。
内容説明
明治の日本、そしてそこに生きた市井の人々の姿を、深い愛情をもって描いた小泉八雲の『日本の面影』は、『怪談』と並び称される彼の代表作である。アイルランド人の父とギリシャ人の母の間に生まれたラフカディオ・ハーンは、なぜ諸国遍歴を経て日本に辿り着き、帰化して日本人・小泉八雲となったのか。「マルチ・アイデンティティ」の作家・八雲の目を通して、近代日本の歩みの意味を考える。
目次
はじめに 異文化に対するやわらかな眼差し
第1章 原点を訪ねる旅
第2章 全身全霊で日本文化を体感
第3章 異文化の声と音に耳をすます
第4章 心の扉を開く
ブックス特別章 日本人の霊性を求めて
読書案内
著者等紹介
池田雅之[イケダマサユキ]
1946年、三重県生まれ。早稲田大学教授・同国際言語文化研究所所長。早稲田大学文学部英文科卒業。専門は比較文学、比較基層文化論。NPO法人鎌倉てらこや理事長を経て、現在顧問。その社会貢献活動により、2007年に博報賞および文部科学大臣奨励賞、2011年に正力松太郎賞および共生・地域文化大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
chantal(シャンタール)
73
松江地方では「ヘルンさん」と呼ばれ、今でも親しまれている小泉八雲。私も小さい頃から八雲の怪談を聞かされていた。昔、NHKのドラマでジョージ・チャキリスと壇ふみが演じたドラマ「日本の面影」もとても印象に残っている。自身も決して幸せな身の上ではなかった八雲は「オープンマインド」と「マルチ・アイデンティティ」の精神で、偏見なく日本を観察した。市井の人々の生活の中にこそ、本当の日本人の精神が見られると、普通の人々の暮らしを愛した。八雲の慈悲深い瞳の中に映っていた美しい日本人の面影は今でも変わらずにあるのだろうか?2019/08/31
ころこ
38
偶然の出会いがなければ読まなかった本。『日本の面影』の「面影」とは、本書を読むと分かるが、言うまでもなく実母のことだ。母が精神疾患になり育児放棄。父も再婚して育児放棄。育ての叔母からはお金を遣いこまれて苦労している。本書では重視されていないが、これが非常に大きいと思う。種田山頭火と同じ愛着障害の回避型だと想像する。日本に漂流してきて、それでも過去と折り合いをつけたい気持ちが『日本の面影』を書かせている。日本が映っているが、同時に八雲自身もそこに映っている。単なる日本論、日本紀行文ではない複雑な経緯がある。2022/12/01
lovemys
13
ハーンの人生をすごくソフトに書いてあるのと、八雲さんが好きななのだなと分かるほどの溺愛ぶりがすごい(笑)しかし、こんなに日本を愛する外国人がいたのかぁ〜、と何だか嬉しくなった。松江は私も大好きな場所。あまり西に行ったことがないので、宍道湖の夕日に感動してしまった。都内の夕日とスケールが違った。また島根に行きたくなる。島根で八雲の本を一日中読んでいたいなぁ。そんな夏休みにしようかなぁ~笑 八雲さんが見た日本を見てみたい。この夏は、八雲さんの本を読う!2024/06/05
とっとこポム太郎
3
小泉八雲のことを知りたくて手に取った。彼の人生、想い、考察が纏められたこちらの本はわかり易いのでお勧めしたい。私はTVなどで見かける、日本のことを好きだと言う外国の方の気持ちがイマイチよくわからなかった。しかしこの本に散りばめられた小泉八雲の文章は、日本に生まれ育った者にも改めて日本の良さを考えさせてくれるものだったし、彼の異文化への柔軟な姿勢は現代人も見倣うべきことだと思う。彼が綴った『日本の面影』、是非とも読んでみたい。2021/01/22
千景
2
小泉八雲を知りたくて。最初は安いテキストの方でいいかなと思っていたのですが、保存版の方が書き下ろしもあると言うことで、こちらを購入しました。小泉八雲と鎌倉の話がとても良くて、鎌倉観光に行きたくなる。耳なし芳一と雪女ぐらいしか知らないのだけど、読書案内を参考に色々読んでみます!2024/04/08