内容説明
閑さや岩にしみ入蝉の声―誰もが知る『おくのほそ道』は、単なる紀行文ではない。五か月にわたる旅を終えた後、芭蕉はその生涯を閉じるまでの五年間、推敲を重ね続けた。旅の全体像が周到に再構成された結果、虚実が相半ばする世界的な文学作品が生まれた。東日本大震災の被災地とも重なる旅の道行きをたどりながら、その思考の痕跡を探る。『おくのほそ道』全文および全旅程図6点を収載!
目次
はじめに 『おくのほそ道』への旅
第1章 心の世界を開く
第2章 時の無常を知る
第3章 宇宙と出会う
第4章 別れを越えて
ブックス特別章『おくのほそ道』全文
著者等紹介
長谷川櫂[ハセガワカイ]
1954年熊本県生まれ。俳人。東京大学法学部卒業。読売新聞記者を経て俳句に専念。俳句結社「古志」前主宰、「ネット投句」選者、「季語と歳時記の会(きごさい)」代表。「朝日俳壇」選者、東海大学特任教授。俳論集『俳句の宇宙』でサントリー学芸賞(1990年)、句集『虚空』で読売文学賞(2003年)を受賞(ともに花神社刊)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Y2K☮
30
「古池や蛙飛び込む水の音」誰もが知っている芭蕉の句。だがその真の価値を誰も知らない。学校で教わった? そんな記憶はない。もし本書を読まなかったら、知ったつもりの己に疑問すら抱かず一生を終えていたのか。「不易流行」は間違いなく禅に通ずる思想、というか禅そのもの。変わらぬものと変わるものは相反する存在ではなくひとつ。一元論。何物にも囚われぬ生き方がすなわち「かるみ」の境地だ。人間も世の中も変わり続けるようで変わらない。進歩のなさに絶望するのではなく、その軛から己を解き放つ。執着せず期待せず、ただ真理に遊ぼう。2022/02/19
ほじゅどー
15
★★★★芭蕉はおくのほそ道で不易流行とかるみという2つの考え方を掴んだ。不易流行とは、宇宙は絶えず変化(流行)しながらも不変(不易)であるという壮大な宇宙観であり、時の流れとともに花や鳥も移ろい、人も生まれて死んでゆくという自然観でもあり人生観でもある。かるみは不易流行という認識の上に立った人生の生き方、行動論であり、様々な嘆きに満ちた人生を微笑みをもって(軽々と)乗り越えて行くというたくましい生き方。2018/05/16
量甘
11
芭蕉の足跡を辿りながら芭蕉の生き方に迫る。不易に立って流行を楽しみながら軽々と生きていきたい。わかりやすい解説で芭蕉の世界にすんなりと入ることができた。2018/10/31
けせらせら
9
なぜ松尾芭蕉が特別なのかが少しわかった。 後半に、おくのほそ道 の本文が載っていた。2022/12/22
しおり
9
江戸時代の作品だけどさすがに古文。中々読み進められなかった。言葉遊びだった俳句に「古池や」と心の句を入れることに成功したことが芭蕉のすごさ。蕉風開眼の句と言われていた意味が分かった。白川の関までは旅のための禊の意味合いが強い。そして歌枕を探し始める。歌枕の実物が見れると期待が膨らんだ芭蕉だったけどその期待が裏切られることも多かった。時が経ちすぎていてもう風化していた。でも松島は綺麗だったらしい。平泉あたりで不易流行に至ったのかな?不易と流行は両立する。流行の中でもそのまま生きることが「かるみ」だと思った2021/02/28
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