内容説明
国連難民高等弁務官として、世界中で多くの難民を救い、国際社会で評価された緒方貞子。その半生を追ったNHKスペシャルの待望の出版化!歴史を変えた、リーダーシップの真実とは―。
目次
第1章 政治家・外交官の家に生まれて―誕生‐アメリカと中国での生活
第2章 信念の人 父・豊一―日中戦争‐帰国
第3章 少女時代に見た戦争―真珠湾攻撃‐終戦
第4章 リーダーシップの原点―聖心女子大学時代
第5章 戦争への疑問 満州事変研究―アメリカ留学‐論文執筆
第6章 突然の国連デビュー―結婚‐出産‐大学での講義‐国連総会出席
第7章 日本初の女性国連公使―国連日本政府代表部への赴任‐上智大学教授
第8章 紛争と向き合う中で―国連難民高等弁務官時代
第9章 「人間の安全保障」を求めて―二十一世紀JICAでの活躍
エピローグ 日本人へのメッセージ
著者等紹介
小山靖史[コヤマヤスシ]
1961年東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。86年NHK入局。主にドキュメンタリー番組制作を担当。13年、ETV特集「地球の裏側で“コシヒカリ”が実る」で農業ジャーナリスト賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アメフトファン
34
日本が世界に誇る日本人緒方貞子さんの事が良く判る一冊でした。難民問題と闘い続けた10年間。女性であるとか日本人であることとか関係なく、一人の人間として戦いづづけた緒方貞子さんには尊敬以上の言葉がふさわしいと改めて思いました。残念ながらまた難民が増え続けています。現在でも国連難民高等弁務官事務所では緒方氏の薫陶を受けた多くの職員の皆さんが奮闘していることでしょう。緒方さんの想いでもあると思いますが、いつの日かこの世に難民問題がなくなる日を祈りたいと思います。2014/10/13
あや
9
「"異人"という言葉。あれ、"異なる人"と書くでしょう。人間 見る時には、本当はにんべんの"偉人"でなくてはいけないのですよ。」人種を越えて尊敬する気持ちや違いを理解をしようとすることが大事である等々、もっと緒方貞子さんから学びたかったと思います。2020/01/15
コニコ@共楽
9
著者の小山靖史さんに感謝。小山さん制作の番組を見逃しましたが、この本を読むことで緒方さんの生きてきた熱い想いや強い意志にふれることができました。しぜんと襟を正す気持ちになります。彼女の生きてきた日々が戦争の歴史だったと感じ、それが、“点でなく線として”いま、現在とつながっているんだということがよく伝わりました。いまも、この世界で戦争は終わっていないという事実を緒方さんは、確かに私たちに語りかけています。8月15日を前に、大いに考えさせられました。ひとりでも多くの若い人たちに読んでもらいたい本です。2014/08/07
hideto
6
以前放送されたNHKの番組で、緒方貞子さんが取り上げられており、非常に興味を持ったので読みました。国連難民高等弁務官としての活躍が有名ですが、緒方貞子さんの生涯を辿ると、なるべくしてそのポジションに就かれたんだなと納得。他の人には真似できない、稀有なリーダーシップを発揮して難問に立ち向かった緒方さん。混沌とした世界情勢が続く中、改めて評価されるべき方だと思いました。2022/11/20
帯長襷
4
生まれ育ちもあるかもしれない。圧倒的な人間力の大きさを感じるけれど、私たちがこれを受け継ぎ、次の世代へと忘れない記憶として伝えていくべきだと責任感のようなものも感じる。まさに必要とされるときに国連難民高等弁務官になられたが、今、戦争とは違うもので世界が協力せねばならないまさにこの今の時代においても緒方貞子のような人物が必要なのではないか。政治の事情も分かった上で、それでも政治上のことを乗り越えて各国が協力できる方法はないものか。模索し続けるしかない2020/06/29