内容説明
思想と市民をつなぐ架け橋として、日常生活に立脚して幸福への指針を導き出した二十世紀フランスの哲学者、アラン。彼は「哲学は、生についての省察である」という立場から、幸福は誰かに与えられるものではなく、自らの意志と行動によってつくりだすものであると説いた。美しい言葉で織りなされる即興の思惟は、同時に力強い誓いを要求する。つい不幸に陥りがちな私たちの在りようと、自他にとっての幸福の本質とは何かを探る。鎌田實氏との対談/読書案内/年譜を新たに収載。
目次
はじめに いつもポケットに『幸福論』
第1章 人は誰でも幸福になれる
第2章 人生の主役になれ
第3章 ダンスのように人とつきあう
第4章 幸福になることは義務である
対談 合田正人×鎌田實「幸福」は目標ではなく意志だ
著者等紹介
合田正人[ゴウダマサト]
1957年、香川県に生まれる。一橋大学社会学部卒業。パリ第8大学哲学科留学。東京都立大学大学院人文科学研究科博士課程中退。琉球大学講師、東京都立大学人文学部助教授を経て、明治大学文学部教授。哲学研究者。専攻は19、20世紀フランス・ドイツ思想、近代ユダヤ思想史。「生理学」「心理学」「精神分析」「社会学」など19世紀を通じて醸成された人間科学の諸相を分析し、そこに孕まれた諸問題の現代性を考察。17世紀以降のユダヤ人問題とも取り組んでいる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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にいたけ
49
アランの幸福論の解説書。泣いている赤ん坊を前にどういうことを考えるか?親が癇癪持ちだからとか考えてしまいませんか?でも真の原因は服の中のピンに痛がってたのかもしれません。私達はわからない現象を前にあれこれと想像して不安になってしまいますがアランはその現象のピンを探すことが大切だと解きます。あれこれと不安になる前に行動すること。不安をおぼえる前に動くことが不安から身を守ります。そしてその事ができるようになることが幸福になることなんです。わかってないとついつい余分なこと考えちゃいますしね🤔2022/11/06
出世八五郎
24
アランの幸福論を初めて習ったのは、高校の国語授業だった記憶あり。『人生は克己の一語に尽きる。』というフレーズを憶えてるが、アランだったか本書には登場しない。アランの主張する“礼節”が気に入った。結局、不機嫌さは人に伝染する。それを防ぐ為に、アホのような作り笑顔を幸福の為にも必要なのだと強く説く。難解と予想される原典を取る前に、このシリーズを予習として読むのに便利だ思う。2016/03/02
しょうじ@創作「熾火」執筆中。
21
【1回め】以前、串田孫一・中村雄二郎訳の白水社版を読んでいたが、どうにも腑に落ちなかった。それを今回も払拭できなかった感じである。しかし、幸福それ自体を「徳」と見なす態度、ことに幸福に対して禁欲的であることが伝統的な思潮のなかにあって、そのように主張することは、画期的なことであったと思う。2020/03/03
加納恭史
16
アランの幸福論の優しい解説がこの本である。まあ実用的な哲学。人々は幸福を求めながら暗い世相のニュースに悲観的になる。これは感情的な反応である。主にデカルトな「情念論」に沿って人間な情念つまりどんな想像力で幸福を見つけたら良いか。だがこの想像力は豊かとは限らぬ。貧弱であるとまずい思い込みになる。その思い込みは情念や感情に捕らわれる。怒りや憎悪や嫉妬を生みかねない。その精神は身体と結びついているので身体の不調や気分が悪くなったりする。そこで身体の運動で健やかに、まずは能動的に気分を楽しくしよう。まず上機嫌に。2025/02/20
としP
13
『幸福は誰かに与えられるものではなく、自らの意思と行動によってつくりだすものである』2018/12/28
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