「想定外」を想定せよ!―失敗学からの提言

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 148p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784140814994
  • NDC分類 509.8
  • Cコード C0036

内容説明

東日本大震災の津波による甚大な人命被害は、「想定外」ゆえ仕方がなかったと言えるのか?震災の前後に三陸海岸の実地調査を行った著者が、さまざまな失敗事例の科学・工学的考察を踏まえ、「想定外」の事故・失敗が起こる要因を解き明かす。そのうえで、想定漏れを防ぐための対策や、突発的な事件・事故にどう対処すればよいかを提言する。今後の防災のあり方を考えるための指針となる一書。

目次

第1章 想定とは何か(想定は考えるために必要不可欠;安全性はどのように確保するか ほか)
第2章 ありうることは起こる!(ありうることは必ず起こる!;なぜ、「原因究明」が必要なのか ほか)
第3章 なぜ、ありうることが忘れられるのか(「ここより下に家を建てるな」;失敗の記憶消滅には法則性がある ほか)
第4章 「想定外」を想定せよ!(失敗を防いだ上越新幹線脱線事故;うまくいった「想定」はニュースにならない ほか)
第5章 「想定外」にいかに対処するか(全体像を把握する;自分で観察し考えることで「真のベテラン」になれる ほか)

著者等紹介

畑村洋太郎[ハタムラヨウタロウ]
1941年東京生まれ。東京大学工学部機械工学科卒業、同大学院工学系研究科修士課程修了。工学博士。日立製作所で2年間勤務した後、東京大学工学部助教授、同大学大学院教授を経て、工学院大学教授、東京大学名誉教授。専門はナノ・マイクロ加工学、生産加工学、創造的設計論。2001年より畑村創造工学研究所を主宰し、また文部科学省の「失敗知識活用研究会」実行委員会の統括も務めた。02年には特定非営利活動法人「失敗学会」を立ち上げる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

C-biscuit

14
図書館で借りる。一時期流行った「想定外」というフレーズに惹かれて読んでみる。この本は失敗学から想定の範囲などを説明しており、東日本大震災だけではなく、これまでの重大事故についても考察されている。特に東日本大震災が中心であるが、人の記憶は風化しやすい。石碑に「これより下に家を建てるな」と書いても、防波堤の影響もあるのだろうが、家が建ってしまっていたらしい。地震対策はソフトとハードと両方が大事であるとのところは非常に共感できる。上越新幹線の対策は効果があったようで、想定内のことはあまり話題にならない。確かに。2016/02/22

富士獣

7
国内の最近の具体的事故・災害の紹介とそこから得られる教訓が書かれた、第一人者による失敗学入門本。 大学の工学部で行われる「工業倫理」系の講義1,2回分くらいの内容で、釜石の奇跡をはじめとした東日本大震災以外にも回転扉や上越新幹線脱線事故などこの分野では王道中の王道の事例が紹介されている。ハインリッヒの法則や「想定外にどう対処するか」の話は設計側の人間だけでなく、日常の中で万人に役立つ。 写真や図が豊富で1時間くらいで読めるので、ぜひ多くの人に読んでほしい。2019/05/20

壱萬参仟縁

5
冒頭のカラー写真ページは評者のように現地を訪れていない者にとっては、心打たれるものである。失敗学とは、起きてしまった失敗をポジティブに生かすための学問(3ページ)である。評者の人生も失敗の連続であるのだが、それでも生きていくにはなんとか肯定的に構える以外ない。どうも成功のためには、失敗が連続している必要がありそうだ(45ページの図)。いきなり成功していれば、単なる達成感で終わってしまうのだが、失敗からは体感、体験が蓄積され、真の科学的理解に通じることができるのである。ノーベル医学・生理学賞山中先生を思う。2012/11/21

茶幸才斎

4
あの大震災の被害に関して「想定外」=「防ぎようがない」とする論調に対し、それは単なる責任逃れと異を唱え、あり得ることは必ず起こると強く断じ、幾つかの実例を基に「想定外」をさえ想定していく方法について概説している。人は過去の失敗を容易に忘れ継承が難しいとか、ハード的対策をその目で見ると安心してそこで思考停止に陥るとか、いろいろ示唆に富む。現実問題として、リスクの大きさ及び頻度と、これを防ぐのに要する資材やコストは、どこかで天秤に掛けざるを得ず、その議論の最中で得てして経済至上主義が首をもたげてくるのだろう。2014/05/30

脳疣沼

3
人は見たいものしか見ない。そしてすぐに忘れる。そういう生き物だ。ゆえにそれを前提とした対策をとらないといけない。「世界一厳しい安全基準」などというのは危険だと思う。もちろんあらゆることを想定した上での、本当に厳しい安全基準なんだろう。そして、それゆえに、ちょっとやそっとの地震じゃあ、もはや事故は起こらないんだろう。そうして人々は新たな安全神話に安住する。いつか想定外のことが起きるまでは。一番簡単なのは「想定外」に屈して原発自体をやめることだが、地球温暖化による想定外に最終的に飲み込まれることだってある。2015/08/28

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/4019109
  • ご注意事項

最近チェックした商品