目次
復元模写全十九図
第1章 全巻復元模写への挑戦―「柏木三」「宿木三」
第2章 平安絵師との対話―「竹河一」「東屋二」
第3章 心を秘めた平安の色―「柏木二」「横笛」「橋姫」「早蕨」「宿木二」
第4章 平安の恋‐四季に重ねて―「蓬生」「竹河二」「東屋一」「関屋」「宿木一」「柏木一」
第5章 浄土を夢見た女たち―「鈴虫一」「鈴虫二」「夕霧」「御法」
復元模写十九図と詞書で再現した絵巻
『源氏物語』あらすじ
復元絵巻で見る人物関係図
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
森の三時
27
源氏物語が書かれた100年後、その世界観を見事なまでに描ききった源氏物語絵巻。現存する19図は国宝となっているが、900年の時を経て残念ながら絵の具の剥落が激しく多くの色を失ってしまった。復元模写を試みることは、900年の時を遡り日本の美をたどる旅でもあった。描かれた当時に近づけるため、最新の科学的調査をし丹念に絵師の仕事を再現した。垣根の向こうから、姿を見られてはいけない女性を男が盗み見る=『垣間見る』とは、男女の出会いのシーンであるが、私が絵巻を通じ垣間見た平安の色は、本当に華やかで鮮やかであった。2017/02/12
あおい
11
復元された絵巻の色彩の鮮やかさと紋様の繊細さに感動。模様や色を次々と解き明かす現代の写真技術の素晴らしさには脱帽です。宿木三の庭に描かれた風に揺れる秋草は匂宮の心変わりを感じ取った中君の心の揺らぎを表し、鈴虫一では装束の色から女三の宮だと思われていた女性が実は女房だと解読。とても興味深かったです。2024/09/12
紫暗
6
とにかく写真が美しいです。読むほどに復元している方々の技術はもちろんのこと、平安時代の絵師の技術の高さにも驚くばかりでした。様々な科学技術を駆使しての調査でわかった新しい事実にも目を見張るものがありました。巻末の復元した絵巻一覧だけでも一見の価値があると思いますが、わかりやすく説明された復元過程も読んでいて飽きませんでした。美麗な写真と共に古代ロマンに浸れる一冊です。2013/08/09
み~くま
5
NHKで放送された際にも観たはずなのですが、映像番組の場合はどんどん流れていってしまうので、記憶に残っていない情報も沢山ありました。こういうところが書籍の良さですね。それに、この美しい絵をじっくりと間近で観られることがとても嬉しかったです。修復前の絵と比べながら観ると、修復作業の困難さと修復技術の素晴らしさを改めて肌で感じることができました。まさに永久保存版の一冊ですね。叶うことなら、徳川美術館へ行って、実物の絵巻を肉眼で観たいです。2020/02/20
Tomoko 英会話講師&翻訳者
3
図書館本 復元された絵巻が色鮮やかなこと!900年前のオリジナルでは、どんな植物が描かれているかはっきり分からないが、可視光蛍光撮影法やエミシオグラフィといったもので調査したそうだ。植物があると季節感もはっきりしていい。p.138~絵巻の再現、源氏物語あらすじ、人物関係図、用語解説2023/12/13