内容説明
近年新しく脅威となった感染症には、いままでの抗生物質やワクチンでは歯が立たない。なぜなら、ウイルスや細菌が突如として進化のスピードを速める、ほかの病原菌から遺伝子を取り込むなどして、かつてなかった病原体が生まれているためだ。また、アフリカのウエストナイル熱がニューヨークを襲う、炭疽菌事件が起こって生物テロの恐怖がひろがるなど、フィクションの世界がいまや現実のものとなっている。人類は病原体との闘いにおいて、これまでで最大の危機に瀕しているといってもよい。本書は、このような新興感染症にかかった人々の闘いを描くことで、感染爆発の危険と実態を明らかにし、対応策の必要を訴える。
目次
序 SARS―最新の殺し屋
第1章 ジーニー・ブラウンのケース―劇症型A群連鎖球菌
第2章 バイオテロ―生物兵器の脅威
第3章 海を渡ってくる病原体―未熟な警戒システム
第4章 BSEと慢性消耗病―未知の恐怖・プリオン
第5章 凶暴化した大腸菌O‐157―加速する細菌進化
第6章 耐性菌―抗生物質と病院が危ない
第7章 インフルエンザ大流行の予感―急速に変異するウイルス
第8章 結核の再来―「撃退しては忘れる」のくり返し
第9章 体内の時限爆弾―慢性病「C型肝炎、ヘルペス、エイズ」
第10章 私たちは何をすべきか
著者等紹介
レビー,エリノア[レビー,エリノア][Levy,Elinor]
免疫学者。ボストン大学・ボストンメディカルセンター微生物学教授。おもな研究実績にHIVや免疫反応に関するものがある
フィシェッティ,マーク[フィシェッティ,マーク][Fischetti,Mark]
長いキャリアを持つサイエンスライター。『サイエンティフィック・アメリカン』誌の編集委員を務める
根路銘国昭[ネロメクニアキ]
1939年沖縄県生まれ。66年に北海道大学大学院を中退、国立予防衛生研究所(現・国立感染症研究所)にはいる。専門はウイルス生態学、ワクチン学。元WHOインフルエンザ呼吸器ウイルス協力センター長、国立感染症研究室室長。現在は社団法人生物資源利用研究所所長
日向やよい[ヒムカイヤヨイ]
翻訳家。東北大学薬学部卒。医学論文、科学誌記事の翻訳に携わる
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