内容説明
奄美の懐に抱かれて豊饒の自然を描きつづけた画家の生涯。田中一村に関って19年、著者渾身の一村論。
目次
序章 無名の画家の登場
第1章 米邨の南画
第2章 千葉寺への移住と戦時下の画家たち
第3章 売り絵を描く日々
第4章 奄美への旅立ち―新しい画境を求めて
第5章 描かれた奄美―閻魔大王への土産
終章 日本画家 田中一村を考える
著者等紹介
大矢鞆音[オオヤトモネ]
1938年東京に生まれる。早稲田大学第一文学部美術学専修卒業。1962年日本放送出版協会(NHK出版)入社。NHKブックスほか美術図書の編集に携わり、取締役美術部長を経て、津和野町立安野光雅美術館館長、奈良県立万葉文化館総合プロデューサー、鹿児島県田中一村記念美術館顧問。美術評論家連盟会員
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感想・レビュー
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Hiroki Nishizumi
5
中央画壇から見捨てられていた一村が世に出るきっかけになったTV番組とその前後のエピソードを皮切りに一村となりの歴史を書き綴った本。第三者的目線が親近感を覚える。専門家ではないディレクターの発案、一般視聴者の反響、皆無な反応の専門家、さらに美術商から美術の概念についての猛烈な抗議など当時の一村の評価は実に興味深い。専門性は高めるべきだがタコツボに陥る危険が改めて分かった。本書を一読して、やはり自分は画家としての一村より奄美の絵が好きだったのだなと感じ入った。2019/01/05
sattin
4
最近興味をもった画家。不遇の生涯と言い、画期的な画風と言い、インパクトがありますね。絵については本当にうまいとしかいいようがない。日本画壇はこの人を正しく評価できなかったのでしょうか。2017/02/16
こう
0
田中一村美術館の立ち上げに携わった著者による田中作品の作られた当時の背景や心情などを関係者の証言や手紙などから綴っている。 生前中央画壇では、評価されなかった田中の創作にかける鬼気迫る状況や奄美大島での生活などがよくわかる。2019/07/17