内容説明
アレクサンドロスの登場から、モンゴル帝国の完成へ。ユーラシア大陸で繰りひろげられた約1,600年の文明の興亡のなかに、「交流」と「融合」の歴史を探る。
目次
ユーラシアへの視点(2)(「ポスト・アレクサンドロス」の舞台)
文明の道(ヘレニズムと仏教(アレクサンドロスの後継者たち;プトレマイオスとセレウコス;都市を考える;バクトリアとインドのギリシャ王国;パルティアとゾロアスター教;仏教誕生までのインド;アショーカ王の時代と仏教;ガンダーラ仏の謎))
「文明の道」へのアプローチ(古代バクトリアの息遣い―アフガニスタン考古余話;中央アジアのヘレニズム;クシャン族とガンダーラ仏教)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
姉勤
29
番組連動第2集。アレキサンドロスの遠征で各地に産み落とされた植民都市。ギリシャ文明による中央ユーラシア諸文化の塗り変わり、混ざり合い。そして交易によってハイブリッドされた仏教が、仏像を生み、教義を体系化させた。その触媒をになったのはクシャーン人を初めとするキャラバンを生業にする民族だった。 ギリシャ彫刻の具象化、ゾロアスターの善悪二元、インド諸宗教を取り込み、偶像化を完全否定した初期仏教が、人々の祈りの対象にピントを合わせる事で世界宗教化していく過程。人の余剰な富と時間が生まれた、同じ道程。2016/10/29
ゆう
3
中央アジアでのヘレニズムの担い手となったパルティア、バクトリアといった地域は、近代考古学研究の空白地帯であった。政情不安定で発掘調査がままならなかったことに加えて、頼れる文献も古代ギリシャや中国の限られたものだけだったからだ。自然この本も、ヘレニズムが単なるギリシャ世界の拡大ではなく東西の相互浸透であったということを、記録ではなくモノに語らせる構成。第一巻と比べてより考古学チック。考古学は想像力を要する学問だと痛感。2010/12/25
koneko_1211
1
ヘレニズムとの出会い(プラスこの書籍では触れていないが、漢字文学との融合)があったからこそ、仏教は世界宗教に広がったと思う。 歴史の必然と偶然は、本当に面白い。2017/05/31
黒胡麻
1
アレクサンドロスが今日のアフガニスタン辺りに作ったギリシア人植民都市。それが紆余曲折を経て、後にガンダーラ地方での仏像の誕生に関わることになる。戦争によって貴重な文化財が失われてしまう話は胸が痛む。2015/06/23
未来来
0
多分、NHKスペシャル「文明の道」第2集・第3集を元に纏められた一冊。単純に歴史を辿るのではなく、取材の様子、研究者の回想等が含まれており、主題の流れは基本的に真っ直ぐなのに寄り道ばかりした読後感が残りました。一般向けの番組からなので難しくはありませんが、漠然と読み難く感じる事があったのは多分その所為。ヘレニズムの歴史、文化と、仏教及び仏教美術の変化を辿ります。写真も多く、時にはカラーで見られます。地図や年表もありますが、見易さはまちまち。《公立図書館》2010/01/14