しがまっこ溶けた―詩人桜井哲夫との歳月

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  • サイズ B6判/ページ数 277p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784140807040
  • NDC分類 911.52
  • Cコード C0095

内容説明

しがまっこ、まだ溶けない―一九九六年、らい予防法が廃止された時、六〇年を療養所で過ごした詩人桜井哲夫さんは、胸に秘めてきた怒りを、こう表現した。そして今、老詩人の心に張りついていた“しがまっこ”が溶けてきた。一人の若い女性が、そこに至るまでの詩人の思いを受けとめてきた。それが、筆者である。本書は、十九歳の多感な時代に始まり八年におよぶ詩人との心の交流を、みずみずしい感性でつづった青春のドキュメントである。

目次

序章 おじぎ草の詩
第1章 詩人桜井哲夫について
第2章 二人の条約
第3章 鮮やかな朝の国へ
第4章 故郷の光の中へ
終章 「らいになってよかった」

著者等紹介

金正美[キムチョンミ]
1976年生まれ。東京朝鮮中高級学校を卒業後、恵泉女学園短期大学英文学科へ進む。短期大学を卒業後、恵泉女学園大学人文学部日本文化学科3年次へ編入学。同校卒業。19歳の時、国立療養所栗生楽泉園を訪れ、詩人・桜井哲夫と出会う。以来8年間、祖父と孫娘のような交流を続けてきた。現在は東京で、放送字幕の制作に従事
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

紀梨香

5
17歳でハンセン氏病になり隔離施設で暮らすこととなり、以後60年実家を訪ねることができなかった桜井哲夫さん。しかし「らい病に感謝している」と語る彼の詩は明るさに満ちていて胸を打ちます。19歳で彼に出会った筆者の金正美さんは率直にネガティブな気持ちになったエピソードも書いていて、誠実なルポルタージュだと思いました。この二人だからこそ築けた関係が尊い一冊でした。2022/02/25

Koji Harasawa

4
詩人桜井哲夫さんと、著者の不思議な関係。祖父と孫になった。津軽弁で「氷」を意味するしがまっこ。溶けぬ氷が、溶けた。ハンセン病により故郷を追われた詩人と、韓国北朝鮮にルーツを持つ若い人の変化に涙した。ライでよかった。という言葉に、こちらの言葉がなかった。2022/07/27

shin

2
 ▽「しがまっこ」は津軽弁で「氷」―。差別と言おうか、異質や未知な物への拒絶感と言おうか。心の中にある氷のように固くて冷たい何かが、溶ける日がこればいい。そう感じさせる美しい本でした。  ▽ハンセン病で指を失い、薬品で溶けたような顔の詩人と19歳で出会った女性が綴る心の交流の物語。「らいになってよかった」。そんな重い深い言葉が随所にちりばめられ、それでも、著者の純粋な感性が読み手にも伝染し、読むのを止められない一冊でした。2016/12/10

ともまる

1
ハンセン病による隔離、偏見、差別など、言葉では語り尽くせぬ悲嘆のなかにあっても、ユーモアと感謝を忘れない、詩人桜井哲夫さんと瑞々しい感性を持った、まっすぐで正直な金正美さんとの交流を描いた本。 自分は何者か?ハンセン病とは?改めて考えさせられる。 2023/02/10

Kunio Hanaoka

1
詩人・桜井哲夫は、らい病を患い17歳から療養所にいた。全盲のうえ指がなく、歯もないという自分を、彼は「らい病に感謝している」と語る。故郷の青森に帰る場面や韓国に行った場面は、著者の尽力に感動する。感動したい人は是非ご一読を。2014/11/18

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